隙のないウェールズ
ウェールズのラグビーというといかにも保守的でスクラムを中心とするフォワードの絶対的なパワーで押すラグビーという印象で、その中心にはキャプテンのアラン・ウィン・ジョーンズがいる。
しかしそこにスピードが加わりこの日のジョージア戦はディフェンスの強さが際立った。隙のないディフェンスから相手を走らせず、プレッシャーをかけて反撃する。ジョージアの走るスペースを消して何もさせなかった。
これが世界一のラグビーだ。
シックスネーションズの優勝からけが人が出るなどの紆余曲折を超えて、この日は完璧な試合運びをした。勝ち進めばもしかすると決勝でオールブラックスと当たる可能性もある。もしこの赤と黒がぶつかれば、レッドドラゴンズとオールブラックスとは戦術が真反対で、ストラクチャーとアンストラクチャーの戦いになるだろう。
ジョージアも力の差はあるものの、特に後半はよくやったと思う。しかし、ジョージアがシステムを変えてフォワードに力を注ぐと、すかさずそれを見極めてウェールズが体制を変えてくる。このあたりの変化が早く、ジョージアは手も足も出なかった。