かわるかたち 渋谷公園通りギャラリー

光島貴之さんのスケールの大きい作品を後にして、奥の展示室へ向かう。

ここにもまた想像を接する世界が存在する。マクロとミクロの融合。大きな額に描かれた作品は、なんと鉛筆で描かれたもの。そして何重にも重ねられた鉛筆の痕跡が形を変えて紹介されている。

10Bの鉛筆。

70歳から創作活動をはじめた井上優さんの作品。

どの作品もその普遍性に圧倒される。果たしてこうした作品にどれだけの時間が費やされているのか。この言葉を失うような感動の源はなにか?

意識しなければ空間に紛れてしまいそうな風景。その色合いの美しさだけを意識させる作品も、自らの目を作品に近づけると、まるで違う世界が迫る。

この円が一筆で描かれたものではなく、無数の曲線にグラデーションを加えたものであることがわかる。ほかの作品にも共通するが、すべてのものには意味があって、見る側の距離で印象が変わるということだ。

こちらの作品も然り。
遠くから見るとパステルに飾られた色鮮やかな作品だが、近づくとまるで違い世界が迫る。世界旅行を体現しながら、ところどころに存在する動物やヒトを集約させ、時間とともに存在するものたちを結びつける。

萩尾俊雄さんの作品もまたすごい。アール・ブリュットそのもの。


生活の中で切り捨てられたゆくものを集めてひとつの夢のある作品に仕上げてゆく。もしこういう時間が与えられたら、凡人の自分に何ができるのだろうか。こうした意思とこだわりの中から生み出されるアート。逆説的な意味で山岡信貴監督は「アートなんかいらない!」という映画で、コロナ禍の社会におけるアートの必要性にくさびを打った。


では・・・
捨てられる素材を集めて時間をかけて生み出されたこれらの作品(アート)は本当にいらないものなのか?光を失った光島貴之さんの立体的な集合知を誰が止めることができようか。捨てられた社会の捨てられそうなものでなにかを作ることの意味を改めて考える。



(=^・^=)



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