カスハラ対策実務マニュアル 香川希理
弁護士が書いた「カスハラ」対策本。
いろんなハラスメントがあってハラハラするが、セクハラ、パワハラ、モラハラときて、ついにカスハラだ。カスタマーハラスメント。この本は売れ線を狙う、奇をてらった本ではなく、どちらかというと学術的で、タイトルのとおりマニュアル形式に構築されている。著者で弁護士の香川希理氏は、マンション管理士などの資格ももっているところを見ると、そちらが専門のようだ。
おおきく4編で構成されるこの本は、まずはじめに「お客様は神様か?」という投げかけから始まる。かつて三波春夫さんが放った「お客様は神様です」のひとことは、いわば高度成長期に生まれた名言ではあるが、今となっては重荷となっている。
しかしこの言葉の真意は、巷で使われているものとは違う。この本によれば「神様として扱うに足りるお客様を尊重する。」という意味であって、だれもかれもが”神様”であるわけがない。確かにそうだ。そして、この本の中で最も学びがあるとしたら、究極のモラハラ対策は「こう着状態を作る」ことだそうだ。
自分もかつて、そして今も直接間接的に、いわゆるクレームと向き合ってきたし向き合っている。自ら消耗し、クレームに対して強くなるためには、クレームの原因を根絶することだと思っていた。ところがある時二つのことばが耳に残る。
1、無視がベターだ。
2、時間が解決するしかない。
この言葉を聞いたとき、自らが先頭に立ってクレームが起きないよう努力してきたことの精神的な混濁のほとんどが解消され、この本の「こう着状態」という文字に、気持ちが楽になる思いだった。素晴らしい考え方だ。なんでもかんでも解決できるものではない。トヨタ自動車のように、ナゼを5回繰り返せば事故は起きないか?というと必ずしもそうでもない。
ほかにも実務における様々な事例と注意点が具体的に並べられた著書だが、最後まで読み終えて思ったのは、このデフレ国家のストレスが、弱い立場へと注ぎ込まれているということと、我に返って「自分がハラスメント」を引き起こす側にならないためにどうするか?ということである。
セクハラもパワハラも、かつては当たり前に存在した、今思えば自分も被害を被ったこともあるし、逆にハラスメントする(させる)側だったこともある。日常の当たり前の中に、ハラスメント被害が存在するということは、会社の内外でささやかなジョークも交わせない社会のように感じることもある。しかし、いまはこれが現実なのだ。この国、この社会はもう誰も信用してはいけない、という社会なのだ。
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