プリンセス・ダイアナ エド・パーキンズ

19歳の少女が王室に招かれてから亡くなるまでの17年。いまからもう四半世紀も前のことを丹念に時間をかけて映像を織り重ねたドキュメンタリー映画。映画の中にナレーションはない。音楽だけがドラマを助長する。その美しさと存在感が圧倒する。


映画の日、公開二日目の午後2時半の回はなんと満席。最前列までびっしり。劇場に入場前のお客さん、特に女性客が写真を撮っているのが目立つ。

いまもって英国から遠い極東の日本でもダイアナ人気の高さに驚かされる。我々はいったいダイアナをどのように見ていたのか?この映画がじんわりと当時の真実を伝えようとする。



映画ではダイアナのが王室に入って子供を産んで、その後ひとりで世界をかけめぐり慰問活動を続けたことが示される。特にダイアナの慰問により、ときの政治が動かされた可能性について、この映画は少しだけ暗示している。



映画の解説は町山さんと藤谷さんの動画を見ればまとまっているので、そちらをご覧いただければいいのだが、この映画を見てダイアナの人生を今振り返ると、これは国が行った壮大なるキッドナップだったと思える。国が19歳の子供だった彼女を誘拐したのだ。そして何も知らない彼女は王室のしきたりの中でもがき苦しむ。こうした事実を映像として掘り起こした功績はとても大きいと思う。それは日本も同じだからだ。予告編の中で市民が「お前らメディアが彼女を殺したんだ。」というがそれは必ずしも当たらない。そのメディアが垂れ流す報道を喜んで読んだり見たりしていた国民もまたダイアナを殺したのだ。


と、思う。



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