なんでも大江戸番付  三遊亭円楽

昨年鬼籍に入られた三遊亭円楽師匠がBS朝日に出演されてた番組が本になったもの。
図書館でダーリンが借りてきた。

面白くて一気読みした。2016年頃の本。
江戸時代に実在した「見立番付」というのがあって、番付というと大相撲を連想するが、ほかにもいろいろな人気商品などを番付にした歴史があるようだ。日本人はやたらとベストテンなどに並べたがるが、江戸時代からの習慣というか習性らしい。

この本では大きく「グルメ、商売、レジャースポット、祭り、神社仏閣」に分けて取材している。どれもこれも興味をそそる話しばかり。


一章 江戸のグルメ三昧
三大そば、つまり砂場、更科、薮そばに分けて、それぞれの人気の由来や狙いなどが紹介される。いまも江戸時代から残る砂場が三ノ輪のあたりに残っているようなので、こんど行ってみよう。あとは蒲焼。これも実に面白い。かつてうなぎは1本150円程度のファストフードだったらしい。寿司も今とはずいぶん違う。もともと屋台で寿司を出していた、という落語は聞いたことがあるが、江戸の寿司はシャリも酢もない「笹巻きぬけすし」だったらしい。小川町にいまもそのすしが残っていると聞く。

あとは「にんべん」の鰹節。日本橋コレドにある「にんべん」のお店にいまも当時の香りが伝わっているが、もとは三重県出身の伊勢屋伊兵衛さんが名字も名前もにんべんだったので、「にんべんさん」と呼ばれていたのが所以らしい。


二章 江戸の商売と職人
ここはいまでいう百貨店を特集している。かつては呉服屋だった店の大店がいまの百貨店に変わっていった。中でも越後屋白木屋大丸屋が江戸の三大呉服店だったとか。

当時の店の雰囲気が絵画になって残されている。もともと呉服は店先売りをしていなかったらしいが、このように大きな店舗を構えることで大人気になったらしい。天井からは新作の反物などが吊るされ、名前がかかっている。これは店員さんの名前だそうで、ひいきの店員さん目当てにお客が集まるという仕組みだったらしい。「現金払い掛け値なし」もヒットの理由だそうだ。それまでの支払いは盆暮れの2回で、支払いのときに端数を値引きしてもらいなど、都度「掛け値」をしていた。それを「掛け値なし」にする代わりその場で現金を支払うという方法にして大いに繁盛したのだそうだ。おそらく当時現金の流通はそれほどなくて、通貨も今のように誰でも持ち歩けるという状態ではなかったのではないからではないか。
白木屋の訓えに

商いは小売りを取らず 正直によきものを売れ。 末は繁盛

というものがあり、他にも酒は飲むな、女遊びはするな、寄り道はするな、などと様々なマニュアルがあって人材教育を怠らなかったと聞く。ちなみに白木屋はのちに東急に買収され、老舗だった日本橋店はいまコレドとなって三井のビル群に変わってしまった。


ほかにもこの頃の飛脚の話しが面白い。4kmごとに拠点を設ける宿駅制度というのがあって、荷物運びの格付け(幕府、大名、庶民)の隔てなく受け渡しが行われていた。いまの郵政事業につながる仕組みである。


ほかにもさまざまな江戸の風景を「番付」という形式で紹介するこの本。中でも円楽師匠が時々落語のネタに折り重ねて紹介しているところも興味をそそる。たとえばうなぎにまつわる「しわい屋」とか「浜野矩随(はまののりゆき)」などはまだ聞いたことがない。いずれも興味をそそる。
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