SHE SAID/シー・セッド その名を暴け マリア・シュラーダー監督


やられた。
ちょっとショックだった。


ハラスメント、というフィールドだが、必ずしも女性とか偏見だけではなくて、社会の在り方に対するテーゼ。そんなスケールをこの映画に感じる。次々に証言される女性たちと、その証言が押しつぶされる現実とに、見る側の自分が情けなくなる。いいのかこの社会がこれで、ほんとうに、まじで。特にこの国(じゃぱん)はかつてと同じ道を歩んでると感じさせる。


ちなみに劇場は満席だった。みなさん何をこの映画に求めているのだろうか。


アメリカはしょうもない国だと思う。しかしそのアメリカをいつまでも追随して、軍国化する日本はもっとひどい。そしてアメリカにはこういう現実を暴露する自浄作用が若干残されているが、「表現が不自由」ですべてが封殺されるこの国は、世界のどの国よりも最低な国家になってしまったと思う。(この話題はもうこのへんでやめよう。)



メディアがすべて正しいという話しでもない。この映画はメディアの正義を問うドラマではなく、むしろメディアが正義を振りかざしても誰もそれにたなびかない、無関心になってゆく社会を前提として始まる。したがってワインシュタインのセクハラを暴露することに加えて、果たして暴露することに賛同する者がいるかどうかという手探りのドラマだ。マーガレット・フェファーナンの「見て見ぬふりをする社会」がよぎる。無批判な服従のメカニズムを解明しようとするあの本の内容がよみがえる。



最後の最後に関係者がその記事を読み直すシーンは息が止まる。そこには勇気をもって闘う意思を示した女性の実名が並べられる。ワインシュタインの言い分ももちろん公平を期して書かれている。そしてここにいる全員が何度も何度も記事を読む。そして最後に記事を送るボタンが押されて暗転する。この暗転からテロップが流れるまでの僅かな時間になんとも言えないものが自分にものしかかり胸が苦しくなる。自分だって権力を手にしたら同じことをするかもしれないという恐怖。



KINENOTEのレビューはこちらから。「SHE SAID





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