新宿ピカデリーの９階から隙間を見下ろす。この日見た映画もさることながら、シアターの階段をゆっりゆっくり時間をかけて息も絶え絶えに手すりにつかまりながら後部座席に上がっていく御婦人を見て、不思議な気持ちになる。手を貸そうと声をかけたが、付き添いの息子さんと思しき男性にやんわり断られる。この御婦人の心理。スピルバーグの映画をどうしても見たいという気持ちがあって、意を決してバリアフリーとは程遠いシアターの上のほうの席を息子に確保してもらい鑑賞した。この国の高齢化はますます進むだろうが、映画を愛し、映画ぐらいしか趣味のない自分の姿がこの御婦人と重なった。

映画のあと、ダーリンとお別れして自分は新宿５丁目に向かい。日清食品のビルにはかつてパワーステーションというライブハウスがあった。今もあるのか？なんどか来たことがあるものの、誰のライブだったか思い出せない。

そしてその隣りにある店で大学時代の友人と食事。大きなピザと肉料理。
話しははずんで、何しろ２０年以上も会っていないので、三人の時間を埋めるのに時間がかかる。

ここでの話しで終わらず、Ｙくん（旧姓Mくん）の娘さんが住むというタワマンの１階にあるカフェでさらに話しを続ける。Ｙくんがかつて勤めていた会社は、彼が合格して自分が落ちた会社でいまはない。その母体となる会社の元社長さんの講演を聞いたことがある。今思うと、大きな会社の更生に政治が絡んでいたことを想像させる。

お昼から始まって、お別れしたのが５時過ぎだ。記念写真などを撮って再会を誓う。自分以外の二人はセレブリティだ。貧乏学生だった頃を思うとそうした隔たりは感じないが、本人も彼らの子供さんもみなさんご立派で、やはりそれぞれの育ちが違う感じがした。それでも友達はありがたいものだ。またの機会を楽しみに、長いいちにちを終える。しゃべりすぎて、家に着いたらコテンと寝てしまった。
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