魔少年 森村誠一短編集
森村誠一さん、御年90歳が1972年に講談社から出された短編集をたまため手にして久しぶりに森村さんの魅力にとりつかれてしまった。
そしてなんと、この小説が1980年にドラマ化されていることを初めて知った。
何一つ不自由のない家庭に育った子供が起こした「いたずら」。そこには恐ろしい意味が隠されていた―。ホラー短編の最高傑作『魔少年』をはじめ、“顔のない男”に日夜悩まされる『空白の凶相』。女の執念の憎悪を描く『雪の絶唱』。共犯であるはずの男から脅迫される『死を運ぶ天敵』など、人間の心の暗部を映す、現実的ホラー短編集。
あらすじはネタバレになるのでとてもここに書けないが、タイトルの「魔少年」はタイトルからも察するとおり、なんとも恐ろしいドラマだ。車が通る直前に飛び出してみたり、金魚のエサに毒を混ぜてみたり、とにかく犯罪まがいの悪いことばかりするクラスメートに近づいてはいけない、と諭す母親の目線から描かれる。人間の持つ矛盾を最後に突き付ける。
「空白の凶相」
のっぺらぼうの存在と鏡の表現が印象的だ。エロティシズムの表現はすごい。
「雪の絶唱」
かつて旅した高山の風景が重なる。国分寺が舞台となるシーンが実に巧妙だ。
ほかにもゾクゾクするようなサスペンスが展開するが、いずれも吸い込まれそうな魅力にあふれている。時代背景を超えて、どの時代にも重なる世界が押し寄せてくる。先ごろ読んだ「腐食花壇」は、極めて政治色の強い作品だったが、この短編集に共通するエロチックな表現もまた秀逸だ。
全く、想像もつかない人物関係が最後にひとつの事件に集約されるドラマは、最後の1行まで読み落とすことができない。最後の「殺意中毒症」などは皮肉を効かせた終わり方。ワーカホリックという中毒症にかかった人物を冒頭に据え、狂気的な仕事人間を追う刑事。その刑事もまたワーカホリックなのではないかと思わせて終わるドラマは笑えない。ときは高度成長からバブルへ向かう時代。そんな時代に埋没する人々の仔細を丁寧に且つスピード感あふれる展開で読者を堪能させる。
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