トリとロキタ ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督
新作ごとに最高傑作を生み出す、世界屈指の映画監督兄弟。
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ロキタのおどおどした表情から始まる。相変わらず映画には音楽がない。音楽で観客を誤った感情に誘導するような愚かな(例えばハリウッドや日本映画)なことを彼らは一切しない。ドキュメンタリーのようなカメラが彼らを映すだけだ。映像そのものは何も語ろうとしない。映画はふたりの子供を正面と背後から延々と長回しで追いかける。
Tori et Lokita Trailer BE
ダルデンヌ兄弟がかねてからテーマとする移民や難民の問題は、日本からすると遠い国の話のように思えるが、この映画ではそれだけでなく、見てみぬふりをする社会についてお二人の監督の怒りが込められているようだ。
その意味では、この国の愚かな政治を見過ごして放置している人びと。そしてそれをいいことに傍若無人の振る舞いをよしとるす傲慢は為政者たち。これは遠い国の話ではない。ロキタを違法難民であることをいいことに強圧する人びと。かれらはまさに自分ではないかと疑いたくなる。
現にこの国では名古屋で外国人を殺し、
牛久でも残酷な行為が公然と行われている。
これらのことを置き去りにして、ダルデンヌ兄弟の傑作を他人事のように見過ごすことができるだろうか?
このふたりの神々しいに表情とその目線の先に見える社会は相変わらず闇だ。闇の中で褐色の彼らはまるで存在を消すように生きなければならない。
「万引き家族」や「存在のない子供たち」といった映画は、いずれも子供を主人公に据えながら、血のつながりとは縁のない人びとの関係を築き上げる。そのとき問題となるのは社会だ。この映画のふたりに向けらたカメラは、フレームの外にいる人物、例えばイミグレーションの人たちを映さず、彼らの表情によって我々はなにかを判断するしかない。問題はフレームの外にあるのだ。社会が彼らをまともに受け止めようとせず、見ないふりをしているということなのだ。
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