オールブラックス ハンセンHC

オールブラックスはこの日、ボーデンの弟ジョーディー・バレット(22)を軸にチームを組み立てた。ボーデン以上に体格のいいジョーディーは2m近い身長ながら、ものすごいスピードで走る。ハンセンHCも彼の才能を見込んでいて、将来のオールブラックスを背負う存在としてこの大舞台を経験させているフシがある。兄のボーデンはベンチ入りもしておらず、観客席に座っているかと思いきや、なんとウォーターボーイ(飲み物を運ぶ役割)でビブスを着て選手にドリンクを運んでいた。世界のMVPを2度も獲得した選手がドリンクを運んでいる。実は2015年大会でも、マア・ノヌーが水運びをしていた。ワールドカップならではのユニークなシーンである。



格下相手のナミビアに71点を入れて勝ったオールブラックスだが、どの選手もバランスよく役割を演じていて点差以上に見ごたえのある試合を展開した。最も興奮したのは試合終了間際でペネラナが飛び込んでトライしたシーンだ。アクロバットのようなシーンに胸を躍らせる。この試合のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたレーナートブラウンは地味だが堅実なプレーで活躍したほか、ジョーディーと同じ22歳のセブ・リースの活躍も目立った。アーロン・スミスとペレナラはSHでありながら、ペレナラがSOもできるので、最後は世界的なSH二人が並んで試合をするというシーンがあった。



最後に、スティーブ・ハンセンが試合途中コーチ席から控室に移動するハーフタイムの時、子供にサインを求められて、やや険しい顔をしながらも応じていた姿が印象的だった。彼は紳士だ。どんな局面でも冷静に対応する。試合途中にサインを求められれば常識的には断られるものだと思うのだが、ハンセンは日本の子供の夢を裏切らなかった。



このように小さなことのひとつひとつが合理的で感動的だ。ワールドカップを目の当たりにすることでより一層ラグビーの難しさと神秘性とを知り、より興味をそそる世界を体感している。
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