コンパートメントNo.6 ユホ・クオスマネン監督

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驚くべきことに劇場は満席だった。ひとつも空きがない状態。シネマカリテはとても小さな映画館でスクリーンも小さいが、熱心なファンでロビーはごった返している。すごい。

COMPARTMENT NO. 6 | Official Trailer (2022)

ひとつは、美しい映画だということ。とにかくどのシーンを切っても美しい。クオスマネン監督のセンスにカメラが見事に呼応している。

もうひとつは言語。この映画では言語が重要な意味を持つ。フィンランド人の主人公ローザはロシア語も話す。しかしたまたまコンパートメントNo.6で一緒になった粗暴なロシア人リョーカはフィンランド語がわからない。そうそう途中でギターを抱えたフィンランド人が乗り合わせるが、彼はロシア語がわからない。言葉と意思が通じ会えるのか?というテーマでもある。

主人公が女性だからというわけではなく、この映画は紛れもなく女性を描く映画だ。そしてフィンランドの女性首相もまた、この国を背負う立場として凛々しい存在だ。

しかし必ずしも我々日本人が思うほど北欧諸国とロシアの関係は単純ではない。ウクライナと戦争をするロシアという国がどれほど古くから周辺諸国に強い影響を及ぼしているか?という背景を考えると、この映画の真意がじんわりと伝わってくる。これは遠い国の話しではなく、もっと普遍的なことを我々に伝えようとしている。

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