#落下の解剖学 ジュスティーヌ・トリエ監督

落下の解剖学



ANATOMY OF A FALL - Official Trailer


公開週の日曜日の朝、小雨がぱらつく日比谷で鑑賞。ほぼ満席。客層は少し高めだったか。


原告が死んだ夫、被告が妻、証言に立つのが目の不自由な息子という裁判劇。夫婦の対立は「クレイマー、クレイマー」とか「マリッジ・ストーリー」などが即座に思い出されるが、アスガー・ファルハディの「別離」あたりがこの映画に近いかもしれない。裁判が必ずしも真実を示すかどうか、あるいは真実が必ずひとつかどうか、(名探偵コナンではないが)を観客に問う作品と言える。その意味では黒澤明監督の「羅生門」なども重なるだろうか。


ふたつのことが言えると思う。ひとつはタイトルの深い意味。「落下」というキーワードが極めて重要な意味を持つ映画だと感じた。冒頭のシーンは階段の上からテニスボールがポンポンポンと落下してくるシーン。そしてもうひとつは「犬」だ。落下するボールを犬が追いかける冒頭のシーン。ここにも映画の秘密が隠されている。主演賞を与えるならこの犬ではないかと思うほど激しい演技をする。この犬は目の不自由な少年の手がかりになっている。


この少し前に見た「ボーは恐れている」も、ビクトル・エリセの「瞳をとじて」も、「哀れなるものたち」にしても、それぞれのドラマは複雑で単一ではない。名探偵コナンが言う「真実はいつもひとつ」とは限らない、というのがこれらの映画に共通するテーマのように感じる。



女優賞の候補にも選ばれている主演のザンドラ・ヒュラーがいちどだけこの映画で慟哭する車の中のシーンだけが真実に近いのかもしれない。しかしこの涙は、何に対する涙なのかを映画は語らない。そしてラストシーンへ・・・(ここでも犬が登場する!)


この映画が突きつけるテーマは深くて重い。目の不自由な子供が迫られる現実に対し、我々はいったい何ができるのだろうか。







ベルイマンの「ある結婚の風景」などがベースとなっていることが明らかにされる。
ミステリー映画ではない。

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