久しぶりに柴又を散歩
実は散歩というより、仕事で巡回した途中に立ち寄っただけだ。コンビニやカフェなどができて、駅前の雰囲気はずいぶん変わった。変わったけれども、寅さんとをさくらが見送るシーンはずっとそこに残されていた。
寅さんシリーズを見直したのは2020年頃で、長い長い歴史に裏打ちされた寅さんと寅さんの家族や仲間たちは、その存在感があまりにの自然で日本人の生活に混ざり合っている。寅さんという強烈でモンスターのような存在を抱える下町の家族は、いまも我々の中に残っている。
この「とらや」の風景は映画に欠かせない。この店先を行き来する寅さんがよみがえる。
歩いてみると気づくのだが、ここはうなぎ屋さんが多い。インバウンド客が訪れることはほとんどなく、高齢の日本人客がパラパラいる程度。浅草とは趣きが違う。
寅さんシリーズで印象的な作品は数限りないのだが柴又駅の名シーンというと、この「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」を思い出す。寅さんが自分の恋に生きてきた作品から、若い方(この映画では中井貴一さんと杉田かおるさん)のために力を尽くすドラマなのだが、最後の最後で竹下景子さんが寅さんの袖を引くのを振り切って電車に乗ってさる、あの胸を締め付けるような切ないシーンが忘れがたい。寅さんシリーズの名シーンの中でも、傑出して感動を及ぼすシーンだ。いまでもこれを書いていて涙がこぼれそうになる。
あともうひとつは、東京大学の試験問題にもなった名シーン。
「寅さん、人はなぜ死ぬのでしょうねえ」という吉岡秀隆さん演じる満男から聞かれた虎さんの答えがいい。「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」はなんと1976年の作品だ。(アップルコンピューター設立の年。)
長くなったが、柴又に降り立てば、今もドラマが続いている。
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