#マッドマックス:フュリオサ ジョージ・ミラー監督

マッドマックス:フュリオサ




ガーディアンのレビューに

See it on the biggest screen if you can; let the thunderous rumble of customised war rigs shake your seats, and the sandblasted angry ochre colour palette grind itself into your pores.

と書いてあった。



ということで、日本で最大のスクリーンを誇る、池袋のシネマサンシャインのスクリーン12で鑑賞することを決めた。劇場は最前列から全席満席だった。



ジョージ・ミラー監督が生涯をかけて作り上げてきたシリーズのサーガは、「怒りのデスロード」をクライマックスにして、フュリオサの生い立ちを描くことで、現代に起きている戦争、そして人はこの諍いを止めることができないということを哲学的に締めくくる。まさにサーガとして最高の状態であった。


しかし、


そんな理屈などどうでもいい。とにかく映画は突っ走り、衝突し、爆発する。核戦争後の荒野を舞台に、荒廃した世界を地球規模で呪いにかける。このスケールの大きさに圧倒された。


フュリオサの幼い頃のことから、滅亡した地球でエネルギーをめぐる争いが延々と続く理由をミラー監督は明確に示す。80歳近いミラー監督の意欲と、キャラクターの構成には驚くばかりだ。体中に文字を書いたまるで「耳なし芳一」のような老人や、「山海塾」を思わせる白塗りの人々など、豊富なイマジネーションが終結している。


いまや大スターになったアニャ・テイラー=ジョイ(「クイーンズ・ギャンビット」が懐かしい)がこの映画にキャスティングされた理由は明らかだ。彼女の強い目線がこの映画全体を突き刺す。そして宿命の対決となるクリス・ヘムズワース演じるディメンタスとの最後の壮絶な戦いの末にフュリオサが下す決断こそ、ミラー監督が世界に示したメッセージだ。愚かな人間が欲望のままエネルギーを求めて諍いあう世界は、いままさにこの地球で起きていることだ。


その意味で、この映画を爆音の大画面で鑑賞して戦争体験に没入することを強く勧める。



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