さらば、欲望 ① #佐伯啓思 著

読書とか映画とか、連続性は作家にかかっている。佐伯啓思先生の本も、ひとたび読み始めると次から次へと読みたくなる、いわば麻薬のようなものだ。あるいは依存症か。


経済成長主義への訣別 ① 佐伯啓思著 - #ダリチョコ の映画とグルメ

さらば、欲望 資本主義の隘路をどう脱出するか (幻冬舎新書)
さらば、欲望 資本主義の隘路をどう脱出するか (幻冬舎新書)
幻冬舎


帯には「絶望から始めよ」とある。サブタイトルは「資本主義の隘路をどう脱出するか」だが、結論から書くと「隘路などない」というオチだ。なんとも複雑な思いの重なる本。しかしいま我々はこの本に書かれている複雑な社会の岐路に立たされている。


序章 ロシア的価値と侵略


ウクライナ学生から「なぜ日本人は英語に熱心なのか」と問われる。「なぜ自国の言葉で文化を大事にしないのか。」と。これはスラブ文明圏の発想で、ミラノヴィッチの「資本主義だけ残った」 にも書かれているが、日本ももとはこの文化圏に帰属している。トルストイの「戦争と平和」にもある通り、文明が衝突するとき、「精神的な風土」をどこに置くかが問われる。難しいのは「精神的」なものは数値で計測できないことだ。


第いのか


もともと情報や知識は公共的なものであって市場競争原理に馴染まないが、現代はこれらがGAFAに独占されてしまった。佐伯啓思先生の「経済成長主義への訣別」でも紹介されたダニエル・ベルの「脱工業社会の到来」の予言が的中したと言えようか。


ネットの匿名性をいいことに、やたらと振りかざされる「正義」によって異常な論壇が急激な不寛容(Intolerance)を生む。これをPC(ポリティカル・コレクトネス)というらしいが、コレクトネスは反対意見を封じ込めるものではない。


歴史に学べば、民主主義が独裁者を生み出すことは明らかだ。日本の小選挙区制からアベノミクスという独裁者を生み出したことを誰も言わないようだが、いわゆる衆愚の中に埋没すると気づかずにヒトラーを生み出しているということだ。大手自動車会社のコストカッターが英雄扱いされたのも同じだ。


この本では、なぜ誰もがこんなに生きにくいのか、という問いに対する答えのひとつに「PC(ポリティカル・コレクトネス)的正義による言論弾圧」を挙げている。


つづく・・・


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