さらば、欲望 ② ちゃぶ台返し
第2章 かくも脆弱だった現代文明
冒頭のウクライナ学生の素朴な疑問を覆すように、日本という国はアイデンティティを失うことで平和と繁栄を手にしてきた。そしてそれは今も失ったままのようだ。
科学や医療の進化で全てが解決すれがいいがそうはならない。
ゲーム漬けの子供は情報を処理することだけに忙しくて読解力がない。アンディッシュ・ハンセンの「スマホ脳」にも書かれてるが、我々は余計なものを減らして根本に立ち戻るべきではないか。では根本とは何か?
グローバリズムが引き起こしたパンデミックは世界を滅亡の危機まで追い詰めた。その後遺症はいまも続いてる。パンデミックの語源はパン(あまねく)デモス(人々)でデモスはデモクラシーの語源でもある。そしてこのパンデミックは情報化とデモクラシーによって引き起こされたと言われる。我々はいま、誰も経験したことのない「死」に直面したのである。
日本は特に、生と死を国家に委ねてきた。いままさにそのつけを払わされているらしい。日本の悪政(岸、中曽根、小泉、安倍)を振り返れば、戦後アメリカに隷属して成長という果実を手に入れたはずが、いつのまにか身ぐるみ剥がされて何もないデフレ環境を作り上げてしまった。反面、冷戦で消え去ったはずの共産主義を唱える国がいま世界を支配しつつある。日本ではこのジレンマの総仕上げがアベノミクスだったと言えよう。吉田茂が戦後体制として構築した憲法も安保も経済成長も、アベノミクスがちゃぶ台返しのようにひっくり返したのだ。
つづく・・・
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