アトラス ブレッド・ペイトン監督
Netflixでさかんに宣伝している、ジェニファー・ロペス製作主演の「アトラス」を鑑賞。監督はブラッド・ペイトン。マーベルで主演を務めたシム・リウが敵役。
いわゆる搭乗型ロボットの典型ではあるが、大きな特徴はこれがほぼ密室劇として進行することだ。ロボットの名はスミス。搭乗する主人公が科学者のアトラス。
古くは「マジンガーZ」や「機動戦士ガンダム」を経て「新世紀エヴァンゲリオン」で一定の世界観に到達したアニメの搭乗型ロボットは、太平洋を超えて「パシフィック・リム」でアメリカに訴求し、ついにAI型ロボットに搭乗する、という領域に到達したと言えるだろう。この部分がこの映画の最も劇的なところだ。スミスというロボットはどこか「PLUTO(#プルートゥ)」に出てくるロボットにも似ている。
敵役もまたAI(シム・リウ演じるハーラン)であって、彼は「アフター・ヤン」出てくるAIのようだが、次第に自分で意思を持ち始める。「クイーンズ・ギャンビット」のようなチェスでつながるというところがポイントでもある。
このドラマの世界観は、AIに人間が支配されるデストピアだ。高野和明の「ジェノサイド」やオーウェルの「1984」などが連想される世界にあって、このまま人口が増え食糧が不足すると地球は滅亡するという理由で、人口を半減させようとするAIと人類の対決となる。
アトラスの母親が開発した、AIと同期するキットをアトラスは拒否し続ける。その理由は同期することで敵のAIにハッキングされるからだ。会議に紙の資料を持ち込んで仲間をしらけさせるのも理由があるのだ。そのことで彼女は逡巡するが、最後はスミスと同期してハーランと壮絶な対決に至る。「エイリアン2」のシガニー・ウィーバーが重なる。
ジェニファー・ロペスは凄まじい演技で、見る側を圧倒する。彼女の表情がつねに画面に大写しされる。まるで「ゼロ・グラビティ」のような孤独。孤独を補うために、ロボットと同期すべきかどうか悩むシーンは、人類が目前にしている危機そのものなのではないか。
あっという間の2時間。大画面の大音量で鑑賞するべき映画だ。
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ガーディアンはかなり辛辣なレビューのようだ。