ペイン・ハスラーズ デヴィッド・イェーツ監督
Netflix映画「ペイン・ハスラーズ」を鑑賞。監督は「ハリー・ポッター」シリーズや「ファンタスティック・ビースト」シリーズのデヴィッド・イェーツ監督。エミリー・ブラント主演、クリス・エバンスにアンディ・ガルシアなど俳優陣も充実したすごく面白い映画だった。タイトルの「ペイン(痛み)」とは何か。
ピンチに立った人物が一発逆転を狙って大金持ちになるが、やがて全てが破綻する、という顛末は「市民ケーン」を代表にデカプリオの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」など数限りないが、この映画は医療という題材で人の痛みにつけ込む行き過ぎた欲望をうまく表現した映画だ。実話に基づいた映画だと聞いてさらに恐ろしくなる。
この映画の主人公は、自分の履歴などを偽って、たまたま潰れそうになった医薬品会社に採用されるが、サクセスストーリーとその転落を描くドラマとしての面白さより何より、ドラッグの恐ろしさを示すのに十分な情報量だ。しかも、もともとはガン治療だけに使われるはずのものが、医師を接待攻撃して処方箋を書かせて、ほとんど麻薬中毒患者を拡大再生産するがごとに内容になっている。何度も同じことを書くが、これは実話である。
人の欲望がどんどん膨れ上がって、違法行為も怖くなくなってしまう。車のスピード違反ぎりぎりで勝負する、いわば刑務所の塀を歩くような行為が続いてゆく。
資本主義経済、特に1980年代以降の新自由主義経済をもって、われわれは常に成長という果実なくして生きることが許されない世界に縛られてしまった。この映画の人物たちもまた違法な成長という果実に群がる人々だ。
主人公がモーテル暮らしをしていたときに仲良しだった家族の父親が、主人公の会社の投薬で死んでしまう。この寒々としたシーンを痛々しく見る。人の命を踏み台に利益をむさぼり、誰もそれを止めることができない。
ペイン・ハスラーズ アメリカを震撼させたオピオイド危機とは?|daiyuuki
実際に起こった出来事を基に、アメリカの製薬業界の内側を暴いた犯罪ドラマ「ペイン・ハスラーズ」:オンラインの森 - ひとシネマ
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