三島喜美代さんご逝去 「命がけで遊ぶ」
練馬でちょうど個展を開催中の現代美術家、三島喜美代さんが91歳でお亡くなりになった。まずは深く御冥福をお祈り申し上げる。
見た目は穏やかな顔のおばあさまだが、本人の内面にある気負いのない強い意思と驚くほどのスケール感は国籍を超え、地球規模で大きな影響を及ぼしてきた。
実は三島喜美代さんの作品に直接触れたのも最近のことで、2021年、陸の孤島のような品川の城南島にあるギャラリーだった。そのスケールのあまりの大きさに圧倒される。見るというよりは体験する、あるいは対峙する作品だった。
その後立て続けに三島作品と縁があって、六本木の森美術館で開催された「アナザー・エナジー」という女性作家の作品が並ぶ中で、三島喜美代さんの作品はさらに強い存在感を示していた。すごかった。
さらにその後、三島さんの作品としては比較的小ぶりな作品が並ぶ寺田倉庫の展示に接する。いつもの巨大な圧倒するほどの作品ではなく、むしろ小さくてこだわりを感じさせる作品が並ぶものだった。
そして瀬戸内海の直島で間近に見た作品。
真夏に汗をかきながら歩いて歩いてやっとたどり着いた先には、とてつもなく巨大な作品が存在した。
三島さんの印象的な言葉に「命がけで遊ぶ」というのがあるが、これらの作品の数々には、三島さんが生涯を伴にした夫の三島茂次さんからの影響と、本人が遊び続けて得た世界のあらゆる情報が作品群の中にひしめいている。それを我々は目の当たりにして何をどう解釈するべきだろうか。「アナザー・エナジー」で示された膨大な情報のゴミが、いまも見えないストレスとなって社会を覆う。そう思うと、三島さんの作品が残したものへの対応を、われわれは何もできていないと思う。
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