#悪は存在しない #濱口竜介 監督
「悪は存在しない」
まずは、素晴らしい映画館だった。「フジヤマコットントン」を見たシネマ・チュプキと同じコンセプトの映画館。目の不自由な方向けに映画を見せる映画館。
「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」で舞台挨拶があったようだ。テーブルにサインが残されている。どうだろう、こういう興奮。映画をともに愛する方たちがつどいこの空間を共有する。この日みた濱口竜介監督の作品もまた、この複雑な映画をともにできるありがたさ・・・。映画を愛する人たちに「悪は存在しない」と言いたい。
この映画は、いろいろな見方ができる。ネットでも様々な感想が乱れ飛び、そのどれもが正しく、どれも的外れな気がする。映画にはそういう悪魔的要素が詰め込まれている。
まず、この映画には有名な俳優が出ていない。いわゆるメソッド的な感情移入をするような強烈なシーンはほとんどない。静かに進む映画はほとんどセリフが棒読みでドキュメンタリーのようだ。
衝撃のラストについて特に多くのコメントが寄せられていて面白い。確かにこのラストはあまりにも衝撃で言葉にできない。そこに示される被写体は、血を流す。この痛みはどこから来るのだろうか。自然と都市化とその間で押しつぶされたような人物など、どこかに恐ろしさを感じさせる映画だった。
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近所のミルヴァレー映画祭で濱口竜介監督作『悪は存在しない 』観た。長野の村にグランピング施設を作ろうとする芸能プロの担当者のキャラにアメリカの観客は笑っていたが、ラストで驚愕して誰も席を立てなかった。なるほど。監督にインタビューしたいなあ。 pic.twitter.com/xvGHvIjIYP
— 町山智浩 (@TomoMachi)