絵金蔵 土佐赤岡 高知
高知に着いてレンタカーを借りて、真っ先に向かったのは「絵金蔵」。少し前まで全く知らない世界。
先ごろ読んだ中野信子先生の「ペルソナ」という本に「絵師金蔵」のことが書かれていた。
少し引用する。
彼(谷中墓地にいるアメリカ人の屏風絵師)は「絵金さんをしっていますか?」と言って奥から画集を持ってきてくれた。そして「高知に行くことがあったらぜひとも、この美術館に立ち寄って御覧なさい。」と言った。
中野信子「ペルソナ」より
この屏風絵師はどうやらアラン・ウェストさんのことを言っているようだ。
そしてたまたま高知に行く、ということが決まったので、車の運転が嫌いなのにもかかわらず、無理をおしてレンタカーを借りて目的に向かうことにしたわけだ。
「絵金」は、狩野派に倣った天才だったが贋作事件をきっかけに高知を追放され、その後名前を変えて恐ろしげな作品を次々に放った移植の絵師だそうだ。
この地域では、絵金の作品を地域で守り、この美術館では絵金の模写を展示している。そして実際の作品は、この地域の方たちがそれぞれ保管しているらしい。
ちょうどここを訪れた少し前に、「絵金祭り」という大々的なイベントがあったらしく、本物の絵金作品を宵闇の街で暗がりの中実際に見ることができたのだそうだ。
絵金という存在とその作品に触れ、いわれのない罪で追放されながらも作品を屏風絵として描き続けた執念、作品に漂う血なまぐさいほどの派手な色使い、そして作品の中に隠された様々な仕掛けなど、じっと見つめるだけで時の経つのを忘れるほどだった。
いままさにこの国は「表現の不自由」によって事実を隠そうとする「歴史修正主義者」によって全てを強権的に弾圧を強めている。彼ら(彼女たち)は、もうこの国の美しさより、自らの利権を貪ることしか頭にないようだが、同じことが過去にもあって、その政治に抗った画家が存在したことに強く感動をおぼえる。
ここから遠い遠い高知に、「絵金」の作品を地域で守ろうとする方たちがいることにも心から感動する。
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