Mommy(マミー)  二村真弘監督

マミー



劇場は予約で満席だった。朝1番の会だけでなく終日満席。



最高裁で死刑判決が出された「和歌山毒物カレー事件」の映画化だ。ドキュメンタリーなのだが、ドラマのような映画。



映画を見終えて思ったことはたったひとつ。過去に起きた冤罪事件、袴田事件にしても松本サリン事件にしても何もかも、警察と検察がつるんで情報をリークし、その情報になんの疑いもなく便乗して世論を作り上げるメディア。権力と結託したメディアがこの国の最大の汚点。戦前も今も何も変わらない。メディアは悪いことに資本を通じて政治とも結託しているからたちが悪い。


しかしそんなことより何より、これは映画である。


ドキュメンタリーであれドラマであれ、作り手がこの題材を映画にしようとした時点で犯罪なのである。それは大島渚が常々言ってきたことだし、「フェイルマンズ」でスピルバーグが示したことだ。二村真弘監督は、この事件があったとき二十歳。映画の主人公とも言うべき死刑囚の息子さんは当時小学生。この事件をきっかけに人生を失ったのは拘置所にいる死刑囚だけではないということだ。冒頭で献花する町内の方にマスクを取らせ、カメラ写りのいい姿勢を要求するメディア。あれを犯罪と言わずしてなんという。


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これをこのクオリティでドラマ仕立てに作り上げる二村真弘監督の力量に圧倒される。


満席の劇場の席に座る皆さんはこの映画に何を見ただろうか。もしこのまま死刑が執行されたとしたら・・・。それは見ている我々の明日の命かもしれないのだ。この映画に出てくる「最高裁判決で死刑が確定した」という既成事実をそのまま鵜呑みにする(自分を含む)人々は、政権与党を野放しにしてこの国を劣化させる張本人となる可能性があることも認識しておいたほうがいいのではないか。


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