掟(2024)  中津留章仁監督

掟(2024)


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木内一裕監督から連絡があって、高円寺で食事させていただいた俳優の渡辺哲さんが出演されている映画の紹介を受けて慌てて見に行った。


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じりりた  渡辺哲主演 ニシオカ・ト・ニール作・演出 - #ダリチョコ の映画とグルメ


渡辺哲さんは、木内監督の「明日の献立」にも出演されていて、舞台「じりりた」を観劇に行ったりした。


低予算で作られた映画だが、驚異的なスピードで作られたらしい。足立正生監督の「Revolution+1」に迫る即時性のある映画。いま見てこその映画だ。


冒頭、実在の人物の記者会見から始まる。映画はフィクションだが、この部分はノンフィクション。記者会見場に人物が現れて、記者へ説明するシーンをワンカットで映す。そしてあるメディア(テレビ局)を名指しして、その報道内容にクレームをつけ、記者がそれに応じるというやりとりまで進み画面は真っ暗になる。その真っ暗なスクリーンにこの映画の主人公とも言える人物の残像が残った。とても印象的なシーン。


あとで知るのだが、この映画は奥山和由さんがプロデューサーを務めている。



この類の政治をストレートに描く映画は、圧力などもあって日本では極めてつくるのが難しいが、「妖怪の孫」などの河村光庸プロデューサー亡きあと、この国の根底をえぐるような映画を実現できる貴重な存在は限られている。この映画も、上映する劇場があってこその作品だ。ほとんど広告宣伝がないままゲリラ的に公開に至った経緯を想像すると、大変なご苦労があったことと思う。


渡辺哲さんは、いわゆる守旧派の議員と立候補して当選し、市長と激しくぶつかり合う役で登場する。正論と慣習、若手と長老。哲さん演じる人物が「地盤てのは、◯◯党が作った最高傑作だ」みたいなことを言う反面、市長はどこかの党のタレント議員よろしく「恥を知れ」などと怒鳴り合う。理屈で全く噛み合わない空論が繰り返され、市民の税金が消えてゆく。


主人公が言う、人口減少社会にあってこのまま放置すればこの国がどうなるか?という問いに急激な変革を進めようとする立場と、感情で対立する老人たちに、メディアとの強い対立関係が複雑に絡まり合う。政治がエンタメ化する面もかすめている。


すごい。言葉にならない。


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