「店の奥の孤独」 対内直接投資(FDI)に見る日本
ずいぶん前だが、こんな記事を書いた。
ラーメン屋さんの奥に見えたのは、外国人の店員に叱られる孤独な高齢の日本人アルバイト店員。
似たようなことを先日も目にした。
外国人の元気な店員さんが店頭で頑張って笑顔を振りまく厨房の奥で、ひたすら孤独に食器洗いに励む男性のアルバイト店員さんがいる。店頭の外国人のみなさんは、母国語で会話し、日本語も流暢にお話しされる。男性のアルバイト店員さんは、店頭の方たちと会話することがない。黙々と孤独に食器を洗い続ける。客として何も不自由はないが、なんとなくもやもやする。
消防署の防災体験に行ったときは、参加者のほとんどが外国人の方。アテンドする消防署の方も心得ていて「日本語を話せる方いらっしゃいますか?」と聞いて、該当者がいるとその方に通訳をお願いするのだ。国籍を聞くと中国人と台湾人だったりするが、お互いに握手して拍手をあびるなど和やかな雰囲気になる。
文芸春秋に元財務官の神田眞人氏が寄稿した内容によると、日本への海外投資が北朝鮮よりも低いということが書いてあって、その中に、
外国の投資家などから、公的機関での手続きはもとより、学校や医療、ナニー(教育ベビーシッター)などで英語環境が整っていないので生活できない。
というようなことが書いてあった。神田氏本人も「ザイム真理教」と自覚しているので、この寄稿の全てを指示するつもりはないが、ここでは”英語教育”となっているが、英語に限らず、中国語も積極的に学んで日常会話程度は誰もができるようになると、さらに多くの方が日本に来やすくなるだろうし、過ごしやすくなることだろう。このことがどれだけ対日投資につながるかは未知数だが、この国はもっと世界に開かれていいのではないかと考える。
東洋経済のリチャード・カッツ氏の論旨をざっくり要約するとこうなる。
1、正しいGDPに占める対内直接投資(FDI)の割合を示すデータを隠している。
2、日本が類似した特性を持つ他国と同様の経済活動を行えば、GDPにおけるFDIの比率はすでに39%という驚異的な数値に達していたようだ。
3、日本でM&Aのハードルが高い理由は、日本が外国企業からの支配をおそれていたことに由来する。
4、日本の成長に本気であるならば、外国FDIを真剣に考える時である。他の先進国のように日本でも外国M&Aが一般的になることが必要である。
もともと日本の英語教育は、受験のためのものであって英会話に軸足を置いていない。英語に偏る理由もなく、中国語や韓国語など複数の外国語を話せるスキルがあれば、もっと多様な仕事やコネクションが生まれるのではないか。
店の奥で孤独に仕事をして叱られている日本人の高齢者も、活き活きと店頭で仕事ができる日が来るだろうか。
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