#侍タイムスリッパー  安田淳一監督

侍タイムストリッパー」 生きることへの執着




初めて入る池袋シネマ・ロサは200席の劇場が満席だった。満席はイメージ・フォーラムの「マミー」以来今年2度目。なんとこれ自主映画である。監督の安田淳一さんは兼業農家で、米づくり農家を続けるためにこの映画を撮ったという逸話があるほどだ。映画ができあがる前、安田監督の口座に7,000しか残らなかったとのこと。上映中劇場は笑いの渦だったが、本人は笑えなかったことだろう。しかし映画が終わると万雷の拍手となる。映画で拍手が起きるのは、チャップリンを鑑賞して以来のことだ。


タイトルだけ見ると、ベタな映画だと思ってしまうがそれは大間違い。過去のタイムトリップ型映画とは目的がまるで異なる。映画はコメディなので、始終大笑いの連続なのだが、最後の最後で真剣になる。


ひとつは「太秦ライムライト」で唯一主演を演じた斬られ役福本清三さんへのリスペクト。そしてもうひとつは、失われつつある時代劇へのリスペクトが真剣に語られる映画なのだが、もうひとつ加えるとすると、敗軍となって虐げられた会津藩への思いが強く印象づけされる作品だ。


この国を守ろうとした会津藩が時代の変化で消えてゆく過程をスキップして現代にタイムスリップした侍の思い。この国を守りたいという意思を消されてゆく人の心が滲む。そしていま、われわれが住むこの現代においてもまた、同じような思いが・・・。



映画が終わって、出演された俳優さんの舞台挨拶もまた感動的だった。三人とも映画館の出口でひとりひとりに挨拶されていたのが印象的。映画は莫大な資本を投下して多くの劇場で当たり前に上映される映画だけが映画ではない。ちなみにこの映画、先週まではここ池袋シネマ・ロサの単館上映。しかし評判が口コミで広がって、なんと来週から全国100館以上で上映されるという。


300万円で撮影され、世界に広がった「カメラを止めるな」を思わせる。あの映画もまた映画をリスペクトした映画だったと思う。



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A Samurai In Time 侍タイムスリッパー Trailer

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