#花嫁はどこへ? キラン・ラオ監督、「西田敏行さん急死」
「花嫁はどこへ?」
池袋で映画を見る機会はそれほど多くないが、大ヒット中の「侍タイムスリッパー」も池袋の映画館だった。シネ・リーブル池袋には、ウディ・アレンの「サン・セバスチャンへようこそ」以来のようだ。思えばここで、アミール・カーン主演の「きっと、うまくいく」を鑑賞後、劇場が万雷の拍手に包まれたことを思い出す。インド映画を熱心に上映する映画館らしい。素晴らしい映画館。
本作は予告編を見た時点で鑑賞することを決めていたが、思っていた以上にシリアスな映画だった。
原題は「失われた女性たち」。日本と同じ男性優位社会のインドにあって、この映画の舞台は2000年頃。たった四半世紀前の現実を写しているようだ。インドの嫁入り女性はベールを被せられて連れられてゆく。ベールが人格を否定するもの、というセリフも出てくるぐらい男尊女卑状態。女性監督キラン・ラオのインタビューを読むと、この映画が2018年頃に起きた「Me Too運動」をきっかけとしているのがわかる。
この誠実な映画は、われわれ日本人からしても学びが多い作品だ。フェミニズムに対する不理解や、現実の社会で差別されがちな女性の立場を思うと、2000年のインドのドラマは、いまの日本に照らしても遅れを感じさせる。
この映画の中でもうひとつ印象的なことがある。それは警察の汚職。金を受け取らないと捜査しないという社会で、すり替わった花嫁をどうやって探すのか?というドラマでもある。いかにも悪役然としたヒゲの警察署長役を演じるラヴィ・キシャンがすごくうまい。ラストで彼が存在感を示す。
最後は涙なくしては見ることができない感動的な映画。男性も女性も、そして子供も大人も見るべき映画だ。
★
★
驚いたが、西田敏行さんが急死されたようだ。「西遊記」、「池中玄太80キロ」、「おんな太閤記」などテレビでのご活躍が思い出されるが、映画では「学校 (映画)」や「釣りバカ日誌」シリーズが忘れがたい。ご冥福をお祈りする。
俳優 西田敏行さん死去 76歳 芸能界から悼む声 北野武さん 米倉涼子さん 綾瀬はるかさんら 出身地福島でも | NHK | 訃報
