ジョイランド わたしの願い サーイム・サーディク監督 、‘A gift to the Kremlin’(クレムリンへの贈り物)
子供の声のカウントダウンから始まる。なんだろう?若い男性(主人公のハイダル)と子どもたち(姪っ子たち)と中庭でじゃれあう姿。微笑ましい始まりに見えるが、映画全体は抑揚がほとんどなく、ドラマチックなシーンはない。平凡な映画に見える。
しかし、
じっと映画を見つめると、カメラの動きがとても気になる。家の中、カメラはほとんど動かず、主人公と妻が狭い部屋で触れ合うシーンでゆっくりゆっくりカメラが寄るシーンがあって胸騒ぎがする。なにもない恐怖。
若干33歳のサディク監督のコメントがこの映画をわかりやすくする。
「パキスタンはちょっと統合失調症みたいになっていて、ちょっと二極化している」とサディクは言う。「人々は祈りを捧げた後、してはいけないことをたくさんやってしまう。」
強い家父長制の伝統があるパキスタンで、トランスジェンダーを描くこの映画は大きな波紋を呼び起こし、上映中止の事態にノーベル平和賞受賞者のマララさんが言及して再上映されたという曰くつきの映画。
この痛み、この抑圧を映画から肌感覚で感じられないとつまらない映画で終わってしまう。しかし画面に写された家、扉、中庭、窓(窓の外)こうしたシーンでカメラが時々ズームして何かを主張しようとしている。
いつも思うことだが、こうした映画を”世界のどこか”という視点で見ると損をする。この映画の人物たちが見えない抑圧と、自らの見えない欲求とに引き裂かれる数々のシーンは雄弁に語ることをあえて拒否するようだ。そしてそれは、いま我々が住む国の道徳とか倫理とかに重ね合わさるものとも読み取れる。
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トランプが中国、ロシア、そして北朝鮮にどのような対応をするか注目される。まずは「クレムリンへの贈り物」に何を贈るかだろう。プーチンはまだ何も反応していない。
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