#テクノ・リバタリアン ① 橘玲著

テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想 (文春新書)
テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想 (文春新書)
文藝春秋
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橘玲さんの著書は過去にいくつか読ませて頂いているが、いずれも刺激的なものばかりだ。今回も正直言って、本当にこの内容を信じていいのか戸惑いを感じさせる内容となっている。


はじめに


「世界を数学的に把握する者たち」としてイーロン・マスクらを紹介し、彼らは成功、幸福、富への10数式「TEN」を知っている秘密結社だという。


世界を支配する人々だけが知っている10の方程式~成功と権力を手にするための数学講座~
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光文社
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このあたりで混乱すると、もうこの内容についていけない。


PART0 4つの政治思想を30分で理解


有名なマーティン・セリグマンの”無力な犬”は波多野誼余夫先生が書かれた「無気力の心理学」で知ることとなるのだが、この本の冒頭の部分でこの実験が紹介されてる。


無気力の心理学: やりがいの条件 (中公新書 599)
無気力の心理学: やりがいの条件 (中公新書 599)
中央公論新社


ストレスを与え続けると無気力化する実験に対し、ストレスを自分の力で解決できる選択肢をもつことの必要性に言及する。そして自由についてふたつ定義している。


リバティ = 自立 → 大きな政府

フリーダム = 好き勝手 → 小さな政府


そもそも「民主主義」という日本語にも無理があって、Demos(民衆)+Cracy(支配)という語源からも、「民主主義」が明らかに誤訳であるという。ここからベンサムの「功利主義」を始まりとする思想から自由や民主主義をめぐる対立を経て行き着いた妥協を許さなお原理主義的自由主義に対抗する考え方として「テクノ・リバタリアン」が生まれたと分析する。


面白いのは、昨今の若者が誤解していることとして、共産党を保守、維新や国民民主をリベラル、そして自民党を中道だというイメージが定着しているという。


PART1 マスクとティール


この本に登場する人物としてイーロン・マスクとピーター・ティールが中心となるのだが、まず彼らが論理や数学力(SQ)があまりにも高いがゆえに、言語(EQ)に劣る、つまりコミュ力のない共感脳に低い人たちであることを説明する。これを「高知能の呪い」といい、平均的な娯楽を楽しめないリバタリアンだということのようだ。


したがって、佐伯啓思先生やジジェクの著書に言葉としてよく出てくる「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」とか「キャンセル・カルチャー」といったいわゆるSJW(Social Justice Warrior=社会正義の戦士)と真っ向から対立する「表現の自由戦士」という立場をとるのが彼らだというのだ。


フランスの文学者ルネ・ジラールの「模倣理論」によると、わたしたちの欲望のほとんどすべては他者の模倣であり、SNSは模倣社会のドラッグのようなものだとする。そして競争は利益を減らす敗者の戦略であって、もっとも利益をもたらすのは独占だというのだ。アップルやフェイスブックやツイッターがそれにあたる。



つづく・・・


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