阿修羅のごとく 是枝裕和監督、「51个州(51番目の州)」
期待の大きかった是枝裕和監督の「阿修羅のごとく」全7話を、2日で一気見してしまった。すごかった。
66kg "Coming of age ceremony"(成人式) -
向田邦子さんというと「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」(ちゃぶ台返し)の印象が強烈で子供の頃よく見ていたことを思い出す。視聴率30%を超す回もあったらしい。その向田邦子さんが飛行機事故で亡くなる前に書かれた晩年の作品のひとつがこれだ。向田さんのドラマのポイントは食と食卓だ。
まずはこのキャスティング。とてつもない俳優がよくぞここに集まったものだ。第1話では三女の滝子(蒼井優さん)が次女の巻子(尾野真千子さん)に電話するシーンから始まる。窓の結露に書く「父」という文字。父親がどうも浮気しているらしい・・・。夫(國村隼さん)の浮気に妻(松坂慶子さん)が気づくシーンまで、笑いを誘いながら際どいテーマを掘り下げてゆく。國村隼さんが演じる父親がとても魅力的だ。
ややネタバレになるが、この母親が亡くなる第3話までが前半。ひとり残された父親をどうするか、という問題を含めて、四姉妹に振るかかる問題が複雑に絡まり合う後半という構成になっている。夏目漱石の「虞美人草」が折り重なり、このドラマが生と死を描く物語であることを明確にする。後半は三女滝子と四女咲子の運命が逆転してゆく様が描かれる。
次女の夫である鷹男(本木雅弘さん)が最後に「女は阿修羅だ。」とつぶやいてドラマは終わる。女性である向田邦子さんが阿修羅をどのように解釈されていたか定かではないが、光瀬龍さんの「百億の昼と千億の夜」では、阿修羅を好戦的な女性像として描いている。
ここからは自分の勝手な解釈だが、向田さんが光瀬さんの阿修羅像を念頭に置いていたとしたら、このドラマのテーマはかなり普遍性に符号するような気がする。さらに、是枝監督がこの企画を引き受けたことは偶然ではなく、向田さんが昭和の時代を描きつつも、希薄となった現代の人間関係をテーマに俯瞰的な目線でこのドラマを作り上げたのではないかと想像する。
少し話題は横道にそれるが、昨年の新宿末広亭で「事件」とまで言われた神田伯山の興行に上方から浄瑠璃の竹本織太夫 (6代目) が来られていて大きな話題となったが、この映画にも織田夫が出演している。ここで演じられる浄瑠璃の表情の変化に、母親と四姉妹がおののくシーンが極めて印象的。現代の浄瑠璃もまた普遍性のひとつと考えられる。
つまり、四姉妹の変化を見つめるドラマは、人生の明暗にそれぞれの家族がそう付き添うかという物語で、例えば四女咲子(広瀬すずさん)の変わりようは極めて刺激的だ。変化、その多くは客観的なものだ。意識を失った夫の足の裏の顔が笑うかどうかをみつめる咲子の孤独。四姉妹の孤独は現代病を鏡に映すような後味を残す。これもまた時代とともに変わるものと変わらないものを対比させていて普遍的に見えてくる。
◆是枝裕和監督が語る「阿修羅のごとく」のリメイク「向田邦子とは何だったのかと、より深く理解するためのアプローチ」 - エンタメをもっと楽しむWebマガジン「J:magazine!」
ガーディアンが高く評価している。
◆この驚くほど美しい番組はあなたによだれを垂らさせるだろう
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就任草々カナダと51番目の州併合すると宣言していたトランプ発言を受けて、辞任を決めているカナダのトルドー首相がトランプ大統領が「真剣に望んでいる」と発言し注目されている。狙いはカナダの豊富な資源だという。さらにウォール・ストリート・ジャーナルの記事(トランプの「いじめ外交」)によれば、トランプはスウェーデン領グリーンランドの買収も目指しており、その先にはロシアへの牽制が狙いにあるのではないかとも言われている。かつてアラスカをロシアから買ったアメリカのことだ、何をやってもおかしくない。
トルドー首相:カナダを米国の51番目の州にしたいというトランプ大統領の願望は「本物」

