平等についての小さな歴史 ① トマ・ピケティ著
- 平等についての小さな歴史
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ピケティの解説本は読んだことがあるが、ピケティ自身の本を読んだのは実はこれが初めて。「21世紀の資本」で一躍有名になったピケティの凄さは、あまりにも豊富な情報量と、それを抽象化する店にある。「r>g」は誰もがわかっていることをひとつの記号にまとめた。
- 21世紀の資本
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しかし、この本の冒頭で、ピケティが多くの人から「もう少しわかりやすい本にしてほしい」と望まれてこのタイトルの本を書いたといっている。つまり「21世紀の資本」の要約版とも言えるのだろうか。
ピケティの研究は長い歴史に裏打ちされているだけに、最近たまたま読んだ水野和夫先生の「世界経済史講義 」や「資本主義と民主主義の終焉」に照らしても符号する部分があった。
「はじめに」でピケティは強い前提条件としてのメッセージに力を込めている。
1、力関係を変えるには市民が経済知識を得ること。
2、所得に踏み込まない研究は無駄。
としたうえで、①不平等は社会や歴史や政治が生み出す ②かつて平等に向けた闘争があった ③しかし闘争やパワーバランスだけでは不十分 だという。その理由は、誰もが代替え制度への合意をすることを警戒するかだら。そのためにはどうするか?
1、「平等への歩み」 最初の手がかり(権力・資産・所得分配が進まない要因)では、教育と保健制度が人類の進歩ではあったが、北側世界と南側世界ではまだ大きな隔たりがあって格差は広がり続けているという。
2、「遅々として進まない権力と資産の分散」では、世界の富裕層1%のシェアは再貧層の50%の5倍に相当するという衝撃的な事実を示し、「資産の束」が最貧層に資産を持たせないような仕組みになっているという。
つづく
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