聖なるイチジクの種、「700%」
「聖なるイチジクの種」を2月の最終週に鑑賞。劇場はかなり盛況だった。衝撃だった。167分と長い映画なのだが、始まりから吸い込まれるイラン映画。銃弾をテーブルに乗せてサインする冒頭のシーンは衝撃のラストシーンに直結する。
大きく言うと、この映画はヒジャブという女性がかぶる布の話しだ。イランではこれが法的に義務付けられている。ほとんど室内でドラマは進むのだが、主人公の検察官である父親は、国家に身を捧げそれなりの地位にあり、出世が約束されている。ところが「マフサ・アミニ」さんが死んだ事件をきっかけに、家の内外で不穏な空気が迫る。父親は勤め先から護身用の拳銃を与えられる。ところがこれが盗まれてしまう。
自分以外3人しかいない家族の誰が拳銃を盗んだのか?というサスペンスになってゆく。疑いだした父親は、妻とふたりの娘を徹底的に問い詰め、家族の信頼関係は崩壊してゆく。後半はカーチェイスや砂の城での捕物劇に展開してゆく。見応え十分。
モハメド・ラズロフ監督はこの映画を命がけで撮ったようだ。自らの財産を没収され、国外に脱出して遠隔でこの映画を作り上げたらしい。
もしこれが現実なら、日本からはなぜこういう映画が生まれないのか。足立正生監督や「福田村事件」の森達也監督。財務省を徹底的に批判する「君たちはまだ長いトンネルの中」のなるせゆうせい監督など、大きなマーケットには乗らないが、誠実な映画を撮る監督が日本にもいる。しかしラズロフ監督に比べればまだまだ足りない。そう思わせる傑作。
ちなみに足立正生監督の新作は今週公開される。
町山智浩 映画『聖なるイチジクの種』『TATAMI』2025.02.11
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毎日のように注目を浴びるリーヴィット報道官が「日本のコメに700%の関税」をかけると発言し注目されている。
【ホワイトハウス報道官が日本を名指しで批判、「米国産コメに700%の関税」】
🌾ホワイトハウスのレビット報道官は11日の記者会見で、米国の輸出品に高い関税をかけている国のひとつとして日本を挙げた。… pic.twitter.com/EbwPPduhbB
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) March 12, 2025
