シンボルエコノミー ② 変人の出番

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第4章 中心の喪失
この章では、簡潔に「シンボル化したドルの裏返しが日本の低成長」という。日本がアメリカの属国となっていることを抽象化するものだが、貿易摩擦やリーマンショックなど、日米の根底にある問題は無視され解決することなく、日本が成長で得た果実はいまもアメリカ(ドル)に吸い取られているのだ。
経済学が「立場の弱い人を救済するためにある」とするならば、日本の経済学は全く機能していないということになる。そしてアメリカの言いなりとなることが、日本の経済学を支配しるようになった。本来、経済学は金持ちになるための学問ではないはずだ。
水野先生は、これらの状態を打破するために「内部留保の資産課税」と「法人税の累進課税」を提案する。これはピケティの主張にも重なる部分だ。
第5章 作られたバブルとビリオネアの増殖
2月7日に水野和夫先生がNHKのラジオで、本著からの引用で強く主張されていたのは、「資本主義を卒業すべき」ということだ。資本主義の暴力性は周知のことだし、新自由主義政策はコロナという絶望的な状態でも富裕層の利益を拡大する仕組みだ。(コロナでビリオネアは資産を2倍にし、99%の人が所得を減らし、4秒にひとりが不平等を理由に命を落としている。)
この章で水野先生は、20世紀の5大バブルを並べ、1980年代以降のバブルが「減税と軍拡を覆い隠した日米連携リレー式バブルだった」と批判している。特に1985年のプラザ合意で、日本はシンボル化に向かうことを選択してしまった。ちなみに簿価会計が時価会計に代わったのもこの頃だ。バブルが崩壊して不良債権を銀行や証券会社が抱え、中堅の不動産デベロッパーが次々に倒産した頃を思い出す。
リーマンショックで世界同時多発バブルが崩壊し、バブルがウィルスのように感染する特徴(1、伝染 2、貧富差拡大 3、社会秩序混乱)がシンボルエコノミーの症例でもあることから、水野先生はシェイクスピアを引用し「おカネは目に見える神であり売女(ばいた)である」(アテネのタイモン)と言う。戦争とバブルの関係についても、このブログでも記事にしたクラークの「夢遊病者たち」を紹介する。
「長い16世紀」と類似する「長い21世紀」では、株価は45倍以上(1982年比)となるが、実質賃金は17%以上低下し、非正規労働が主流となる社会はまさに絶望の社会だ。これに対し、前述のとおり「内部留保課税」を時限立法で進めることを提唱する。実質賃金の低下は自由度を奪うもので、社会秩序の崩壊を生み出すものだ。アメリカのトランプ政権を支えるイーロン・マスクと彼らに屈する企業経営者のありさまを見れば、アメリカで絶望死が急増していることも理解できる。
おわりに
水野先生は、資本主義をすぐに変えることは不可能なので、まずは行動原理から変えてみてはどうかと提言している。そのために「より近く、よりゆっくり、より寛容に」行動と思考を変えるべきだという。そしてここで「変人の出番」だとする。コペルニクスのような変人が社会の認識を大きく変える。そのために冒頭の鈴木忠志氏のような強烈な芸術家を支持し、狂人のパワーをもって社会圧力に抵抗するべきだと締めくくっている。
ケインズが芸術を科学よりも上位に位置づけたことも、これらの主張に重ね合わさるものだろう。
最後に水野和夫先生の著書(一部)と記事を紹介して終わる。
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