陪審員2番、"Shohei visit Whitehouse”(大谷選手)


ついにアマプラでもレンタルできるようになったクリント・イーストウッドの最新作を即座に鑑賞。



ざっくり言うと、気づかなかった自分の嘘を正直に話すべきかどうか?というドラマ。脚本を担当したジョナサン・エイブラムの初作品だそうだ。先ごろ亡くなったジーン・ハックマンが出演していた「許されざる者」以降、映画監督としての地位を確立した印象の強いクリント・イーストウッドだが、「グラン・トリノ」で自らを死に追いやり、「運び屋」で贖罪を告げ(いや告げてないか、別に)、「クライ・マッチョ」で最後かと思いきや、まだ新作を作るエネルギーを持ち合わせていた。現代映画における奇跡だ。


冒頭のシーンがいい。タイトルバックに「正義の女神」が持つ天秤からテミスが目隠しをしている姿に、主人公の妻が目隠しをして主人公である夫のサプライズプレゼント、赤ん坊の部屋を用意して妻が感激するというシーン。ふと「ジャスティス」というアル・パチーノが主演したノーマン・ジェイスン監督の作品がよぎる。”and justice for all..."


陪審員に選ばれて容疑者の犯罪が公判で明らかにされると、陪審員2号である主人公が、1年前に自分が誤って車をぶつけたことを思い出す。アル中から逃れようとする彼は当時酒場にいて酒を頼んだ。しかしその酒を飲まず、自分が再生することを手助けしてくれた妻のもとに急ぐ。妻はその日双子の出産がダメになって傷ついている。


陪審員が話し合いを始めると、「十二人の怒れる男」とほぼ同じシーンが続く。しかし、陪審員の中に、元警官がいたことで混乱する。彼は陪審員資格がないことが明らかとなり交代することになる。しかし、この元警官は検察側の捜査に欠けている部分があることを女性検察官に指摘する。


自分が犯した罪を罪のない容疑者にかぶせることができるか主人公は逡巡する。しかし明らかにすれば自分が終身刑になる。妻や生まれてくる子供のことを思うと自白することもできないジレンマ。女性検察官は、自分で独自の捜査を続けるうちに主人公に疑いの目を向けるが、すでに陪審員は全員一致で容疑者に有罪を突きつけている。彼女は検察長官になることが約束されていて、この事件を翻せば自分の立場が危うくなる。


そしてラスト・・・(「アメリカン・スナイパー」が思い出されるラスト)



『陪審員2番』クリント・イーストウッド監督94歳の大傑作のルーツは何か?



すこし長くなるけど、もう少し。


町山智浩さんの解説では、クリント・イーストウッドがなぜ早撮りなのかとか、この映画と全く同じような映画「真夜中のサバナ」という映画を撮っていることを紹介する。「リチャード・ジュエル」や「トゥルー・クライム」「ミスティック・リバー」など罪について描く作品が多いことを並べ、その元ネタとして「牛泥棒」という映画にイーストウッドが強く影響されていることを教えてくれる。まるで「福田村事件」のような映画らしい。その上で、この映画に出てくるJ・K・シモンズ演じる元警官の陪審員はクリント・イーストウッド自身ではないかと問う。これはまさに「罪と罰」の世界だ。罰を下す陪審員に罪深い人物がいたらどうなる?



さいごに


純粋にサスペンスドラマとして面白いが、バランスを取るべき法律の盲点を突くようなドラマでもある。思いつくのは「いもうとの時間」や「Mommy(マミー) 」など、警察のレベルの低さに加え、世界でも数少ない死刑制度を続け、冤罪で無罪になった事件に「強い不満」を抱くような検事総長が存在する国のことだ。大島渚が撮った「絞死刑」にも出演した足立正生監督も言われていたが、法律は仕方なく存在するものだ。法律の外にあるもっと大きな道徳や倫理や慣習を補う法律に穴があると、このように罪のない人が罪深い人間の思惑で生涯を台無しにする。そして日本では死刑になる可能性もある。


これ以上何も言うまい。


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