シネマ秘宝館86「巳年記念!蛇!蛇!鰻!長ーいモノまつり」
◆#シネマ秘宝館85 「社会派」 - #ダリチョコ の映画とグルメ
◆シネマ秘宝館86「巳年記念!蛇!蛇!鰻!長ーいモノまつり」 - LOFT PROJECT
久しぶりのシネマ秘宝館は横浜開催となった。去年7月以来の横浜。場内は満席で、空席は見当たらなかった。そして紹介された作品はかつてない”何か”を思わせるものばかり。林比佐子さんは素敵な和服で登場。去年7月も浴衣で登壇されたが、今回は「サマーウォーズ」の夏希を思わせる素敵な出で立ち。
オープニングは内田伊作監督の作品から。全4話からなるドラマの第一作。とてもいいところで”つづく”となってしまったのは残念だが、蛇にからまる主人公のアクションも見応え十分。内田監督の「狂気の恋愛ゲーム」というシリーズをYouTubeで見ることができる。
続いて栗林賢治監督「ウロボロス」は初上映。己の尾を噛んで輪になった蛇という神話を現代に落とす2009年に作られた作品。愛人に急かされて妻を毒殺するが、別荘地の背後で不思議な現象が次々に起きるというホラー。無限の罪を負う愚かな人間を描く。
休憩をはさんで、おなじみペキサイト監督の2作品。「グラウンド・ワン」と「こいのぼるぃ」は短いアニメだが、この日最も盛り上がった。特に前者は、開催場所「ネイキッド・ロフト」そのものが描かれる。
そしてペキサイト監督は「シネマ秘宝館」のイメージボードも担当されていて、この絵の中にたくさんの横濱が散りばめられていることを教えてくれる。シニカルな作品が多いペキサイト監督は天才だと思う。
繁田健治監督の「通学路だけ」。この水色の素敵な制服がトレードマーク。前回の横浜ネイキッドロフト開催で「再会できたね」を紹介されていた。
このあたりから今回の秘宝館のテーマ性のようなものがあぶり出される。「変態」というセンスを背負った作家が続く。繁田健治監督の作品は、橋の向こうとこちら側の男女が再開するが、最後は”あっ”というオチで終わらせる。繁田監督らしい見事な作品。
にいやなおゆき監督「うなぎのジョニー」。去年7月に見た「乙姫二万年」は衝撃だった。
今回は墨で描かれたアニメだが、ちょっと最後は不思議な展開になる。屋根裏に住むうなぎが主人公の少女を守ってくれているはずだったが、地下に埋蔵される金塊をめぐり最後は壮絶な展開へ進み、想像を絶する事態が待っている。人間の思い込みが作り出す狂気のようなものが描かれる。
にいや監督の漫画も発売されていたので購入させてもらう。
武田明香里監督「みつあみ」「虹いろの森」
虹いろの森 / 東北芸術工科大学 武田 明香里 (ISCA 2022)
短いアニメだが、いずれの作品も作者の強い思いが伝わる素敵な作品だ。特に「虹色の森」は、絵本という限定された枠でページをめくると違う種族が存在する社会を示す。その中に違う色の種族が混ざり合うとどうなるか。やんわりとこの社会の見えないボーダーのようなものを感じさせる美しい作品だ。心から感動。
そして最後は小原正至 監督の「ルサンティール」がトリ。
アニメだが、実写撮影の演技をこの形式に落とし込む作品。最後に予想外のエンディングを迎えるのだが、フランス、イングランド、そしてスコットランドへとつながる男女の物語は宇宙的な世界へと導き、見る者を驚かせる。「旅情」のような出だしから「猿の惑星」に飛躍するような作品に驚かされた。
すでに次回は9月20日(土曜日)に開催されることが決まっており、木内一裕監督の「緑色の涙」も上映予定。
★
★








