「食糧危機」と「財務省」① 一億総農民

国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係 (講談社+α新書 860-2C)
国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係 (講談社+α新書 860-2C)
講談社


農業経済学がご専門の鈴木宣弘教授と、残念なことに今年お亡くなりになった森永卓郎氏が昨年の2月に刊行した対談本。この国の現実を伝える厳しい内容だ。


まえがきで鈴木宣弘教授は、この問題が消費者の問題であって、世界で最初に飢えるのは間違いなく日本だ、とし、トフラーが予言したプロシューマーを目指すべきだと主張している。


第一章 世界経済はあと数年で崩壊する


太平洋戦争で空襲を受けた都市は食糧難に陥った。もし中国が台湾を封鎖したり、ロシアが核兵器を使うようなことがあれば、確実に今の日本は飢えるだろうという。当時ご自身で自家農業を営んでいた森永卓郎さん曰く「一億総農民」を目指すべきだと主張している。


資本主義という仕組みはもともと人の命など考えないし、地球環境のことなど置き去りにして成長だけを追い求める構造だ。マルクスに言わせると、資本主義の労働は自律性を喪失させ自由を失うものと定義する。だから自分で農業をやって自立すれば人間性を回復させ、地球環境も回復させることができるという。(ここで森永さんは、神野直彦教授「人間回復の経済学」を紹介している。)


第二章 知ってはいけない「農政の闇」


この本が出版された1年後、日本はコメ問題に大きく揺れている。閣僚の失言で混乱に拍車がかかっているが、これこそ日本の不作為な農政が末期状態に至ったことを示すものではないだろうか。


お二人の対談はいよいよ政治の本質に迫る。農水省の役人も財務省や経産省、そして日米お友達企業に牛耳られているというものだ。ガルブレイス曰く「バブルは必ず崩壊する」という言葉を引用し、金に金を稼がせる人たちはいずれ破綻するだろうと予測する。水野和夫教授の「シンボルエコノミー」でも説明されている。


三橋貴明氏が強く「今、農地に投資すべき」と主張しているが、投資家のジム・ロジャースも同じようなことを言っている。但し、日本の化学肥料は100%輸入で、鶏の種や餌も全て輸入。外圧で買わされている小麦はトウモロコシに合わせた食料政策をあらため、米中心の食生活に戻せば、食料自給率が60%まで上昇する。これは2006年に農水省がまとめたレポートだったが、いつの間にかもみ消されたらしい。それは輸入に頼ってもらわないと巨大企業が儲からなくなるから、そういう団体などからの圧力があったのではないかと言われている。




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