国宝 李相日監督、"Sumo stable"(イギリス人相撲部屋)
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「国宝」KINENOTE
公開二日目、午後の会は盛況だった。年配の方が多かっただろうか。映画が始まる直前まで、隣の席の方がいびきをかいていたが、映画の始まりとともに目を覚ましたようだ。それほど惹きつけられる美しいオープニング。そして刺青の中央に浮き出るタイトル。やはり映画は出だしが重要だと思う。永瀬正敏さんの迫力がすごい。
3時間近い映画だが、全く飽きさせない。主人公ふたりの子供時代を演じる方たちも素晴らしく、よそ者と血筋の明暗が幾度となく激しく反転する。芸の世界は実力か血筋か。
少し本筋から離れるが、かつて読んだ「上流国民/下流国民」という本を思い出す。我々は生まれながらにして運命が決まっている。ほとんどの人は生まれに左右される自由であるがゆえに貧しい。恵まれた血筋に生まれれば安定した未来が待っている。我々が今抱く将来不安を丸抱えにしたようなドラマだと解釈することもできないか。
しかしそんなことより何より、この映画の素晴らしさは歌舞伎のシーンと俳優の見事な演技に尽きる。これだけ誠実に取り組んだ作品は稀だ。それは原作者の吉田修一さんや脚本を担当した奥寺佐渡子さんの思いを、李相日監督が背負った結果だったのだと思う。この映画の演出に関与した中村鴈治郎さんと李相日監督のインタビューも読み応え十分だ。
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映画にちなんだ日本の伝統にからめて、ガーディアンのローカル記事が「イギリス人二人目の相撲部屋入門」を記事にしている。ほかにもウクライナなど、世界から日本の相撲を目指すファイターが集まることを紹介している。反面、白鵬氏の相撲界追放もあり、日本相撲協会がなからずしも外国人に”寛容”な組織ではないこともとどめておくべきだろう。文化芸能を守る側の心理に想像を巡らせる。
ハル出身の10代の若者が、プロ相撲部屋に入団した2人目の英国人となる
