「食料危機」と「財務省」② 今必要なこと
- 国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係 (講談社+α新書)
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第三章 アメリカの「日本搾取」に加担する財務省
この章は、かつて森永卓郎さんが出された「ザイム真理教」や「書いてはいけない」などの著書で展開されている内容を掘り起こす。
お二人の対談は大きくまとめると「地産地消の輪を広げよう」というものだ。森永氏は「食料を輸入に頼ると価格が上がる」という説で「ガンディーの原理」に出てくる「隣人の原理」を実践することを勧める。「三里四方の食によれば病知らず」を例える。遠方の安いものは輸送コストで割高になる。
これらは利益優先の資本主義が人の命や健康、あるいは幸福などを二の次にしてきたツケがまわされてきた結果だ。森永卓郎さんはここでご自身の著書でもある「マイクロ農業」を通じて、グローバル資本主義を破壊すると宣言する。
- 森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ
- 農山漁村文化協会(農文協)
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鈴木宣弘教授もこれに応じて、日本の無策な農業政策を厳しく批判する。遺伝子組換え食品を世界一口にするのは日本だそうだ。食育どころか、食にまつわる正しい情報すら知らされない。核戦争が起きると日本人の6割(7200万人)が餓死するとし、地球規模でも限界が来ていることを示す。
第四章 最後に生き残るためにすべきこと
最終章は鈴木宣弘教授の切実な訴え。
ウクライナ戦争が始まって、食料価格が上昇しているが、最も被害を被っているのは農家だという。大企業は国家に守られ、赤字にあえぐ農家は切り捨てられてゆく。そんな中、インドや小麦の輸出を禁止し、中国も国家的に食料備蓄を増やしている。14億人が1年半食べていける備蓄を目指すのだという。逆に自給率1%以下の東京と大阪が最初に飢えるのだそうだ。円安が進み、買う力も失った日本はもう手だてがない。「フードバンク」の仕組みをしっかり作れば「こども食堂」もいらなくなるはずなのだが・・・。
ここでケインズ経済学的立場から、新自由主義的サプライサイド経済学的需給調整を痛烈に批判し、日本の農業を潰しにかかる「ザイム真理教」的考えを糾弾する。マルクスは ①格差拡大 ②環境破壊 ③仕事の楽しさの喪失 ④少子化 などを「資本論」で予言していた。いま必要なことは「人と地球を大切にすること」だと主張している。
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