DIE WITH ZERO ① 記憶の配当

- DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
- ダイヤモンド社
- Digital Ebook Purchas
ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』感想(前編)
ビル・パーキンス氏によって2020年に出版され、世界的なベストセラーとなった一冊。日本でも話題になり、図書館では長い間順番待ちになるほどの人気ぶりです。私も予約してからようやく手に入れ、今年6月に読み終えることができました。
日本語版のサブタイトルは「人生が豊かになりすぎる究極のルール」。長年付き合いのある同期に勧められて読み始めました。
ルール1:「今しかできない投資」
アリとキリギリスの寓話を引き合いに出し、「喜びを先送りし、金を節約することは本当に賢い選択なのか?」と問いかけます。
著者は若いころ、上司から「若いうちは、はした金なんか貯めるな」と叱られたそうです。後にその言葉を思い出し、こう気づきます。
「豊かになっているはずの将来の自分のために、若く貧しい今の自分から金をむしり取っていた」と――。
ここで言う「ライフエネルギー」とは、時間や体力など、私たちが見過ごしがちな隠れたコストのこと。収入は必ずしも労働時間の価値を正確に反映しません。奴隷のように働いて人生を犠牲にするよりも、「記憶の配当」すなわち“経験の価値”を得ることの方が大切だと著者は主張します。
人生とは、経験の合計である。
この本の根底に流れているのは、その思想です。
ルール2:「一刻も早く、経験にお金を使え」
著者は成功者であるゆえか、やや強引に読者を導こうとする一面も感じられますが、それでも読んでいてワクワクさせられるのは間違いありません。もう少し若いころに出会っていたら、人生観が変わっていたかもしれない、とも思いました。
「人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ」
著者は繰り返しそう語ります。
ドラマ『ダウントン・アビー』の執事カーソンの台詞も引用されます。
「人生で一番大事な仕事は思い出づくりです。最後に残るのは結局それだけなのですから」
年齢を重ねるごとに、行動できる経験の種類は確実に減っていきます。だからこそ、「いま」すぐに動くべきだ――そう訴えかけてきます。
ルール3:「ゼロで死ね(DIE WITH ZERO)」
富を増やすと同時に、自由な時間は減っていく。著者はフランコ・モディリアーニの「ライフサイクル仮説(LCH)」を引用し、「死ぬときに残高がゼロになるように生きろ」と説きます。
人は歳をとると、だんだんお金を使わなくなっていきます。使いたくても、体が動かなければ意味がない。高齢になってから医療費に多額の出費をするくらいなら、若いうちに予防や経験にお金を使うべきです。
無自覚に過ごす時間が増えれば、それだけ“人生で最も価値ある思い出づくり”の機会を失うことになります。
ただし、シェフリンとタラーはこうも言っています。
「昔ながらのしきたりに従っている家庭に新しいルールを教えることは難しい」
これは、どんな場面にも応用できる、示唆に富んだ言葉だと思います。
(つづく)
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