DIE WITH ZERO ② 賞味期限

- DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
- ダイヤモンド社
- Digital Ebook Purchas
ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』感想(後編)
ルール4:人生最後の日を意識する
著者は「長寿リスク」と「死亡リスク」を比較し、「トンチン年金(長寿年金)」という制度を紹介します。こうした裏付けを背景に、富の最大化ではなく、人生の喜びの最大化を目指すべきだと説きます。
そして、「死」を意識することでこそ、自分に残された時間の価値に気づくことができる――これが本章の核心です。
ルール5:子どもには死ぬ前に与える
多くの家庭で、親の死後に相続が混乱を招きます。だからこそ、生きているうちに子どもたちに財産を分け与えるべきだと著者は述べます。
お金の価値を最大限に活かせるのは、26歳から35歳の間。多くの人がこの時期、仕事に時間を費やしてしまいますが、もし若いうちに財産を受け取れば、豊かな人生――思い出づくりの機会が大きく広がるのです。
特に、親と子がともに過ごせる時間は意外なほど短い。早く与えることで、その時間の価値をさらに高めることができます。
もっとも、これはある程度の財産がある人向けの話。私自身には無縁のことかもしれませんが、理念としては考えさせられる内容です。
ルール6:年齢に応じたバランスを
この本の根底には、「死ぬまでにお金・健康・時間をどう最適化するか」が通底しています。
多くの人が働きすぎて、「記憶の配当(=経験の価値)」を得ることなく人生を終えてしまう。だからこそ、今しかできない経験と将来のための備えをいかにバランスよく取るかが重要になります。
著者は以下のような支出の目安を提示しています。
生活費50%、娯楽30%、貯蓄(または借金返済)20%
しかし現実の日本では、インフレと貧困化によりエンゲル係数が上昇。生活費の比重が高くなり、娯楽に回す余裕すら持てないという声も多いでしょう。
それでも、「健康はお金よりも重い」という言葉には納得させられます。お金に余裕ができた頃に健康を失っていては、本末転倒です。
ルール7:やりたいことの「賞味期限」
誰もが死を迎えます。死んでからでは後悔もできません。
ここで著者が提示するのが「タイムバケット(時間のバケツ)」という考え方。残された時間という限られたキャパシティを意識することが、思い出づくりの優先順位と、そのための資源配分を明確にしてくれるのです。
たとえば「あと30年」と人生の「賞味期限」を区切ってみれば、その間にやりたいこと、やるべきことがはっきり見えてくるはずです。
ルール8:40〜60代で資産を取り崩し始める
資産のピークに達したら、「稼ぐ以上に使う」ことが必要だと著者は強調します。
年間の生活費を基準に、残りの人生に必要な資金を見積もった上で、それ以上はためらわず使うべきだと。金を稼ぐことが人生の目的になってしまう人は少なくありませんが、稼いだだけで終わる人生は不幸です。
ルール9:大胆にリスクをとる
「リスク」と聞くと多くの人が回避しようとします。しかし、限られた時間を意識したとき、大胆にリスクを取ることも必要だと著者は述べます。
リスクには失敗がつきものですが、それすらも価値ある経験になり得ます。
特に注意すべきは、「リスクの大きさ」と「不安」を混同しないこと。「不安」はあくまで心理的なものであり、リスクは論理的に計算可能なものです。感情に左右されず、ロジックで人生を見つめ直せば、違った未来が見えてくるかもしれません。
最後に
著者は、ここまで読者の心を高揚させたうえで、こう結びます。
「これらすべてを実践するのは、現実的には不可能かもしれない」
しかし、だからといって無意味ではない。目標を持ち、挑戦する意志があれば、現実の中に小さな幸せが見えてくる。それがこの本の真のメッセージなのかもしれません。
最初は「金持ちの自慢話かな」と思って読み進めていましたが、最後に心から納得できる言葉に出会えたことで、この本に対する信頼が一気に深まりました。
おしまい
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