観ると心がざわつく。「最後のピクニック」
「最後のピクニック」(KINENOTE)
ずっと予告編を見て気になっていた映画を、町山智浩さんの解説を聞いて、ついに観に行く決心をしました。韓国映画「最後のピクニック」を、ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞しました。
館内は年配の女性客が多かったように思います。たまたま近くに座っていた二人の女性が、映画の二人の掛け合いを見てケラケラ笑っているのが印象的でした。きっとハングル語が分かると、もっと映画を楽しめるのかもしれませんね。
映画は、年老いた二人の女性の共同生活から始まります。そこに初恋の男性が加わり、三人で過ごす田舎の日常が描かれます。ただし、この三人にはそれぞれ重たい背景があります。特に主人公のウンシム(町山智浩さんによると戸田奈津子さんにそっくりだそうです)は、事業に失敗しかけている息子のため、自分の財産を担保に借金をしようとしています。
ウンシムの親友グムスンもまた複雑です。息子がリゾート建設に関わる一方で、初恋の男性テホの娘がリゾート反対運動をしており、三人の関係に緊張感を生んでいます。こうした対立が映画を通して胸を締めつけます。そして老いという病魔も彼らを襲います。
ラストシーンはあまりにも美しく、同時に残酷です。目を背けたくなるほどですが、目をそらすこともできません。このラストは韓国国内でも賛否両論だと聞きます。しかし、ただのメロドラマで終わらせないファンタジックなドラマ性こそ、この映画の凄みであり恐ろしさでもあります。
先日見た「非常戒厳前夜」といい、この映画といい、韓国映画の先進性と誠実さに改めて圧倒されました。
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