黒塗りだらけ!? 『ザ・レポート』の衝撃の真実

dalichoko(ダリチョコ)


The Report – Official Trailer 2 | Prime Video


映画『ザ・レポート』(原題:The Torture Report)のタイトルが黒塗りされるのを見て、思わず森友学園事件で財務省が提出した黒塗り文書を思い出した方も多いだろう。国も時代も異なるが、国家権力が真実を塗りつぶし、記憶から消そうとする現実に屈辱を感じる作品だ。


振り返れば、先ごろ亡くなったロバート・レッドフォードの『大統領の陰謀』を起点に、『チャイナ・シンドローム』『ペンタゴン・ペーパーズ』『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』『スポットライト 世紀のスクープ』など、ジャーナリスト視点の政治ドラマは枚挙に暇がない。広義には『シビル・ウォー アメリカ最後の日』も、フィクションながら同ジャンルに含まれるかもしれない。


しかし本作は、国家の中枢にいる人物が膨大な時間をかけて「拷問レポート」を明るみに出す過程を描く。メディアの側から過去の映画とはここが大きく違う。しかも主人公ダニエル・J・ジョーンズは実在の人物だ。拷問を提案する側は「アイヒマン実験(ミルグラム実験)」を例に出す。この実験は、波多野誼余夫らの著書『無気力の心理学』(1981年)で子育てに活用されるたとえとしても紹介されており、心理操作の恐ろしさを示す。


無差別な拷問と、9.11で被害を受けた愛国心が混ざり合い、人間の尊厳を損ない、憎しみを増幅させる。池袋交通事故事件や、映画『ぼくは君たちを憎まないことにした』の舞台となったパリ郊外のテロ事件なども思い起こされる。被害者側の理性が試される重大事件の実録的ドラマだ。


本作は、あくまで「行き過ぎた拷問」を明らかにすることに命をかける主人公(アダム・ドライバー)の執念を追う。調査過程でさまざまな圧力がかかるだけでなく、政権交代による心理的揺さぶりも描かれる。オバマ大統領がこのレポートを葬ろうとする理由もリアルだ――再選にCIAの協力が必要だったことが背景にある。


数千ページに及ぶ「拷問レポート」が葬り去られそうになったとき、メディアが近づき全文掲載を約束するが、主人公はそれを断る。その忸怩たる思いに共感しつつ、我が国に投下された原爆のことも頭をよぎる。テロや暴力の原因とは何か、果たして私たちはどう向き合うべきか、と考えずにはいられない作品だ。



CIAの拷問捜査を描いた緊迫感あふれる熱血ドラマ



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