「酒蔵力」で聞いた理事長の悩み―排除か対話か
67.5kg 『リー・ミラー』から『ガッパ』まで、映画とゴルフの一日 -
ゴルフを三人で楽しんだあと、中学の先輩で入社以来かれこれ40年お付き合いしているTさんと、大宮駅で食事をしました。場所は東口駅前の「酒蔵力」です。
Tさんはいつも刺激的というか過激な発言で場を盛り上げる人で、時に大国の大統領を思わせます。この日はご自身が理事長を務める大きなマンションの話題になりました。住民の中に会議で長話をして運営を妨げる人がいて、その人を会議に出席させない方法はないかと真剣に考えているというのです。
確かに、ボランティアで活動するマンションの理事は誰も進んでやりたがらない仕事ですし、運営を妨害する行為を排除したいという気持ちは理解できます。しかし一方で、単に排除するだけで済ませてよいのか──という疑問も湧きます。
最近はクレーマーやカスハラの話題をよく耳にします。職場でも長電話で業務が滞ることに苦しむ人がいて、相手側は何かに困って腹に据えかねているのかもしれませんが、受ける側の負担も相当なものです。以前このブログで紹介した本にもあるとおり、対処法のノウハウは必要です。
◆クレーム対応 最強のはなしかた 山下由美著: dalichoko
ただ、クレームを寄せる人や他人を見下すような態度をとる人々の「境遇」や背景に光を当てる機会は少ない。対処療法だけでは事態は収まりにくく、取り締まる側とされる側の対立構造を深めかねません。制度やルールは必要ですが、それ以前に暮らしや関係性の「ケア」をどうするかを考えないと、より根深い問題が残ります。
例えば今話題の「スパイ防止法」をめぐる議論も、なぜ国家がそのような強権的立法を志向するのかを謙虚に検討しなければ、対立だけが先鋭化して国を蝕む危険があると私は思います。みうらじゅんさんの動画でも一度冷静に見直して、考えてほしい。心からそう願っています。
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