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大友二階崩れ 赤神諒著

第9回日経小説大賞作品。赤神諒著。


日本史は受験科目だったが、このように大きな歴史の影に隠れた史実を追う機会は少ない。


まず”二階崩れの変”というのがある。1550年、九州は豊後の戦国大名である大友宗麟の父が、世継ぎを側室の子にしようとして内部分裂した挙げ句、宗麟の父、大友義鑑は大友館の”二階”で殺される、という事件があった。このあたりのことを事前に知っておくと、読みやすいかもしれない。


主人公は大友家の重臣であった吉弘左近鑑理(あきただ)の話しである。


細かい話しはともかく、とにかくこの左近という御仁は主君に対する”義”を重んずる人物で、主君とそのほかの重臣に裏切られようがとにかくお家は主君ありきを任ずるのだ。主君のためなら自らの命だけではなく、家族(弟)の命を捨ててでも”義”を通す。もともとのタイトルが「義と愛と」だったそうだ。


この人物の驚くべきことは、かつて敵方だった人物でも、自分の意を理解する者ならすぐに信用して疑わない。戦国時代といえば、生き馬の目を抜くような裏切りに裏切りを重ね家を守り勢力を拡大するような世界に、信用を重んじる。鑑理の軍師瀬戸口紹兵衛も然り。


弟の鑑広(あきひろ)は”愛”重んじる戦略家だ。武勇に優れあらゆる戦いで名を残してきた人物だが、一目惚れした妻の楓は敵方の娘で捕虜だ。楓の2人の弟も同じ。しかし鑑広は拒絶する楓を何度も口説き、自分の妻とする。そして兄である鑑理と何度も衝突する。結局闇討ちにあって鑑広は倒れるのだが、弟を救出するために向かった道中、鑑理の耳に主君の身が危ないと聞けば、弟を見殺しにして取って返す。


結局、こうした頑なで不器用な生き様は自分の城をも奪われる。


いったいこの小説、この史実の現代性は何を意味するのだろうか。かつて今井正監督の『武士道残酷物語』という名作があった。戦国時代から現代のサラリーマンに至るまで、日本の封建社会を悲劇的に描く。しかしこの『大友二階崩れ』は違う。義を通して生きた不器用な男を美化して描くのだ。弟の妻”楓”といえば、黒澤明監督の『乱』で原田美枝子さんが演じた役もまた敵方の娘だった。(壮絶なラストは衝撃)これらの史実は、日本人の特徴を捉える。主君に仕えて裏切られても裏切らない。こうした”義”はもはや多くの日本人に失われてしまったものだ。日本人にあって失われたものをここでは描こうとしているのではないか。




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