ジュリアン・オピーと、止まれないこの国

dalichoko(ダリチョコ)

カランダガン(ジャパンカップ)の衝撃


ある日曜日、朝から銀座に出て映画「ヒポクラテスの盲点」を鑑賞したあと、銀座シックス(GSIX)まで移動すると、大きな吹き抜け空間がいつのまにか衣替え。


今回はロンドンのアーティスト、ジュリアン・オピーの新作「Marathon. Women.」が登場していました。





無機質な線で描かれた“走る女性たち”が、延々と前へ前へと進み続ける。ファッションと商業の街・銀座の中心で、女性の身体性だけが抽象化され、商品とも広告ともつかない存在として宙を漂う——その光景は、一瞬、洒落たインスタレーションに見えるのですが、どこか胸の奥がざわつきます。



ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュアらしい都市的な質感の作品なのに、ここ日本に置かれると別の意味が立ち上がるから不思議です。“止まれない女性たち”“働き続ける人間”“常に動いていないと価値がない社会”。アートが語るはずの自由の気配よりも、日本の空気がねっとりとまとわりついてくる。



銀座シックスという巨大商業空間は、“消費のランニングマシン”のような場所でもあります。止まったら訳あり、走り続ければ優秀。そんなこの国の見えないルールが、吹き抜けのど真ん中でアートの形を借りて可視化されているようにも見えました。



来年秋まで展示されるとのこと。


果たして先に息切れするのは、オピーのランナーたちか、それとも走らされ続ける私たち日本人のほうなのか。銀座のアートは今日も静かに問いかけています。

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