新・紫式部日記 夏山かほる
面白かった!超面白い!
源氏物語も紫式部もまるで知らないで読むと、新鮮で新鮮で、もう中盤からある大きな出来事を境にもう止まらなくなった。きっとこのジャンルに詳しい方もまた楽しめることだろう。
下級貴族の紫式部が源氏物語という大ヒット小説で人気者となって、宮中に呼ばれて仕えることになってからの展開がまた見事。
これはネタバレになるのだろうか?
紫式部が生んだ男の子と帝の生んだ女の子を入れ替える、という衝撃のシーンはもう大興奮。このドラマで良きにつけ悪しきにつけ中心となるのが藤原道長で、この男の権力に対する強い欲望が話しをややこしてゆく。
帝を中心とするこの権力争いに、人気作家の紫式部が巻き込まれて混迷するのである。こういうと失礼だが、人の噂は蜜の味。テイスト・オブ・ハニー。生まれ出ずる子供で未来の権力を左右する様が露骨に描かれる。それがまた我々凡人ではまるで知り得ない感覚の世界で戦いが生じている。この実態が源氏物語に反映もされているようだ。
紫式部と清少納言が接触するシーンが極めて美しく読み応えがある。小説を書くことが政治に翻弄されるであろうことを清少納言に諭される。そしてラストシーンがこの2人の会話である。なんという美しいことか。
夏山かほるさんの秀でた才能と調査力に脱帽。
見事であった。
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