西郷どん! 林真理子

いまさらという気もするが、義母からもらった本の中に、林真理子の「西郷どん!」があってついつい読んでしまった。大河ドラマにもなった本なので、すこし遅れ気味だが、刺激的な本だった。とてもおもしろかった。


もらった本は単行本の前編だけだったので、読み終えるとやはり後編も読みたくなる。探して探して神保町の三省堂にやっとみつけて読みおえた。


時代が変化する中で存在感を示した西郷隆盛の生涯を綿密に描く小説だが、知られざる話が多くて面白い。ドラマは京都で始まる。西郷が幾度となく政権交代の場面で行き来した京都。その京都市に赴任する市長を迎える話から始まる。それは西郷の長男である菊次郎のことである。彼が父隆盛のことを語る、という展開で物語は進む。


かねてから知られていることは概ねいいとして、西郷が島津斉彬公のことを崇拝していることと、斉彬の死で落ち込んで、月照という坊主と海に飛び込んで自殺する、というシーンがとても印象的だった。生と死が、男性同士の友情と愛情の境目をいくような展開がとてもよくて、女性に対して奥手だった反動が殿様や友人への愛情へとつながったことを暗示している。


「尊王攘夷」という言葉を生んだ藤田東湖についても触れている。徳川将軍の跡目争いで徳川御三家をめぐる対立が激化し、そこに海外から日本に攻め入る展開。勝海舟の言葉によれば「内乱を起こさせて、最後に入り込むのが異国のやりかただ。」そうで、なるほど中東戦争やことによると最近のミャンマーにおけるクーデデター、あるいはベトナム戦争や朝鮮戦争にも同じことが言えるのではないか。日本もまた2つに分断させる可能性が幾度もあったということだ。


薩長連合から大政奉還、廃藩置県などの目まぐるしい政策転換で武士や公家の立場が変わる中で、西郷は最後に「革命」という言葉に埋没してしまったように思える。むしろしたたかに生きた一橋慶喜がここでは悪役として書かれている。かつて西郷が慕った斉彬が推挙しようとしていた慶喜は、あらゆる周囲の期待を裏切り、最後は自らの保身のために生きた。対して全てを投げ捨てて生きようとした西郷の存在を対比的に描くことで、歴史の真実を掘り下げ現代性をも示そうとしている。


林真理子の本はエッセイぐらいしか読んだことがなかったので、歴史小説を読んでその才能に圧倒された気分だった。素晴らしかった。
(=^・^=)



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