影ぞ恋しき 葉室麟著
今は亡き葉室麟さんの著。亡くなったのが2017年でこの本が2018年に出版されているということは遺作かもしれない。上下巻の長い物語を堪能した。
雨宮蔵人という備前の武士が里を追われて京都の鞍馬山で過ごす日々を描く。そこにとんでもなく大きな政治的事件が発生する。ときの徳川将軍争いに発展する大事件が蔵人をはじめとする家族や仲間に大きな影響を及ぼす。
要所で詩歌が歌われて、ドラマを左右する。夫と妻の関係を「影」とし、同じ影を踏んで生きてゆこうとするたとえである。このあたりはとにかく泣かせる。
そしてこの夫婦にが健気な血の繋がりのない娘、香也(かや)がいる。この娘、実は吉良上野介の血をひいている。そして吉良家の名誉回復のために生きる若き冬木清四郎という青年との関係で大きくドラマが揺れてゆく。
涙なくしては読めない名著。主人公が瀕死の重症を負う場面は、もしかすると葉室さん自信の晩年の状況が重なっているのではないかとも思わせる。素晴らしい物語だった。
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