ライトハウス

2021/07/27 05:00

The Lighthouse　を日比谷シャンテで鑑賞。午後１２時５０分の回は満席。

The Lighthouse | Official Trailer HD | A24
いやぁ、すごい！
言葉もない。とにかくすごいとしか言いようがない映画です。すごいです。
今をときめくＡ２４が放つ２０１９年の映画。でも仲間割れがあったらしいので、昨年から映画をリリースしていませんけどね。仲間割れというのはあまりにもシビアなインディペンデント映画ですね、この映画。まあすごい。

登場人物はほとんど２人。灯台という限定された場所で繰り広げられる数週間の２人の物語。灯台守の先輩と後輩。先輩がウィレム・デフォーで後輩が『テネット』で重要な役を演じたロバート・パティソン。彼は次の『ザ・バットマン』が予定されているようですね。

簡単に言うと、この２人が極限の状態で灯台を守るうちに、どんどん狂気の世界へ入っていくという話。そこには幻想などが混ざり合い、何が本当で何が嘘なのかまるでわからない。２人の関係も酒を飲んでは仲良くなり、醒めては喧嘩が始まるという混乱で、だんだんお互いが変化していくんですね、わずかな間に。数週間の話なのに、長い長い年月を経てこの２人の関係が変化してゆくような重厚さがあります。

とにかく表現が見事。３５ｍｍフィルムで撮影された本作は、まるで昔のテレビ画面をスクリーンで見ているようです。監督のロバート・エガースはこの映画で、２人の役者に極限の演技を要求しています。どうも実話をもとにしているようです。確かに好きでもない同性と同じ場所で何日も過ごすのって、大変です。それが仕事とはいえ、朝から晩まで公私もなく一緒にいることの狂気。

俳優の究極に追い詰められた演技と、その画面に映る素晴らしい絵画のような芸術作品を堪能する映画です。印象的なシーンが次々と示され、見る側を圧倒します。荒海と灯台はいわば女性と男性の象徴でしょう。この芸術を正常な精神で受け入れることができるのか？まさにＡ２４が問い続けてきたテーマの頂点に位置するような傑作ですね。
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