横尾忠則 The Artists


Beyond the Lines: 日本の美術作家シリーズ YOKOO Tadanori 横尾忠則


横尾忠則 GENKYO
横尾忠則とは何者か?
横尾忠則はどこへ行くのか?


以上のような記事を残しつつ、日曜美術館の特集などを拝見して、横尾さんの最後の展示になるかもしれないカルティエ財団に残された展示が東京ミッドタウンにあるギャラリーで開催されいるのを知り、慌てて飛んで行きました。結論から言うと行って良かった。本当に良かった!

横尾さんのインタビューは、カルティエ財団の館長と横尾さんの出会いから、これらの一連作品を作ることになった経緯。そしてこれを作ることで制作日数以上に入院療養する羽目になったことなど、実に具体的にお話されていました。

このマスクアートを作った理由は、横尾さんが29歳の頃に作ったマスク作品があって、それから40年近く経ったコロナ禍で、自分の作品全部にマスクをつけたら面白いだろうということでネットで展示し始めたらしいですね。だからこのマスクはコロナのために作られたものではないそうなんです。

横尾さんはこのマスクアートを「With Corona」と位置づけますが、あれから1年以上経過して、今は「Without Corona」だそうです。横尾さんの活動は変化に変化を重ねとどまることを知りません。彼はもう次の世界に思考が向いているようです。

横尾さんのベースには「未完成」という発想がある。人は誰もが生まれたときから未完成の状態で生を受け、多くの人が未完成のまま死んでゆく。

これはジェームス・タレル。

ニューヨークでピカソの作品に出会ってグラフィックアートから油絵に転向することを決めたエピソードも、横尾さんが現状維持を嫌う行き方をしてきたアーチストであることが伝わります。

これはボルタンスキーですね。

この空間に存在する実際には存在しない人物と横尾さんの手を通して放たれた空間に圧倒されます。

これは蔡國強。横浜美術館のパフォーマンスのあの迫力は忘れがたきものがあります。

胸を打つ感動。その向こう側にいる人物、それはもう亡くなった方もまだまだ現役でご活躍されている方も全て、横尾さん自身なんですよね。すごいです。


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