何かの光線
震災も戦争も残るのは無常観だけだ。この無常観は永遠で、だれもが経験してきたはずだ。なのにまた・・・。無常観もここに極まれり。方丈記でも読むしかないか。
今朝の日経「春秋」より。
よく知られているように、ゴジラは海底で眠っていた太古の生物が水爆実験の放射能で巨大化し、日本を襲うという設定だ。重い思想的な背景を持つ作風が特徴の武田泰淳は、この架空の生物を題材に60年あまり前に短編を書いた。タイトルは「『ゴジラ』の来る夜」。
▼いつどこにゴジラが上陸するのかわからず、他国に現れてほしいと各国の首脳が願う。異様な緊張感のもとで理性を失い、陰惨な衝動にかられる人の姿がブラックユーモアたっぷりに描かれる。そして東京をゴジラが襲い、「何かの光線」で町を焼き滅ぼす。それが何を意味するのか、読者の心にある一つの言葉が浮かぶ。
▼核を暗喩で表す文学とは違い、21世紀の強権者の言動はあまりにもあからさまだ。隣国に侵攻したロシアの現代の皇帝は、核戦力の運用部隊に「高度な警戒態勢に入る」よう命じた。ミサイル発射をくり返す北朝鮮への制裁を強める決議に反対し、国連の機能を脅かす。かばってもらったその国も、核の脅威を振りかざす。
▼武田の思想の根底には、実体験にもとづく無常観があるという。戦争の悲惨と敗戦を目撃した彼は、滅亡について思いを沈め、これからの世界は「目にもとまらぬ全的消滅を行い得るであろう」と記した。悲観論が世界を覆うのをいかに防ぎ、国際秩序を立て直すか。勇ましく前のめりになるのでなく、理性が導く行動で。
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